遺品整理人が見た「汚物・激臭・虫」より辛いもの 亡くなった途端、豹変する人がいる

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――普段の顔とは違う、裏の素顔が出てしまう場なのかもしれない。

生前はうまくやってても、亡くなった途端に豹変する人もいます。「あいつ、1銭も残さないで」と。複雑ですよね、親子も結局はお金なのかって。この仕事でつらいのは汚物でも激臭でも虫でもなく、人の裏の顔が垣間見える瞬間です。最初は情熱1本で「やってやるぞ!」と意気込んでいたけど、世の中の厳しさやドライさ、物事が冷静に見えるようになりました。

最後は必ず玄関にお線香と仏花を

――小島さんご自身は、孤独死を否定してはいない?

孤独死自体は実際には誰にでも起こりうることで、悪いことじゃない。そもそも孤独死をなくすのは不可能。次の瞬間亡くなるなんて、誰も予測はできないから。問題は発見されるまでの時間だと思います。長い間発見されないと、腐敗が進んでご遺族がお葬式で故人の顔を見られない。

『時が止まった部屋 遺品整理人がミニチュアで伝える孤独死のはなし』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

孤独死の場合、とくに残された側は現実を直視できず、踏ん切りがつかないまま何年も引きずる方が多い。認めたくないというか。

そう考えると、できる限り早くご遺体がきれいなうちに発見されるに越したことはない。万が一に備え、最近顔見ないねと、お仲間が様子を見に来てくれるよう外での付き合いを増やすとか、お弁当の宅配を契約する、在宅医療を頼むなど、早く発見してもらえる方法を考えておくといいと思います。

――遺品整理も今年で5年ですね。

今も勉強、勉強です。工事現場のように作業工程が決まってるわけじゃない。1件1件違うから、こういう場合はこうしたほうがいいとか、その都度対応を変えて、新たな発見をしていかないと。

臭いや虫で近所に迷惑がかからないよう、部屋は閉め切ってエアコンを洗浄し、キッチンを磨き上げ、徹底的にきれいにする。その後、必ず玄関先に線香と仏花を供えます。きれいに部屋を明け渡すため、たった5分だけお供えして撤去する。そのために20分走って花を買いに行ったり。故人に安心してあの世に旅立ってほしいと思うので。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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