タブー破りまくり「三井・越後屋」のスゴイ戦略 日本のビジネスモデル史上最大級の革新だ
「経営学」というと難しく感じたり、実際に経営学の本を読んだりして自分には関係ないと思う人も多いのではないでしょうか。ですが、事業運営を任されたビジネスパーソンも、アルバイトをする学生にとっても重要な領域なのです。複雑で難しい経営学をわかりやすくかみ砕いた『新しい経営学』から一部抜粋し、日本ビジネス史上最大級の革新である、三井・越後屋の創業物語にはどんな経営学的な知恵があったのか解説します。さて話は1673年、今から約350年前にさかのぼります。
三井高利、52歳の挑戦
日本におけるビジネスモデル史上最大級の革新は、江戸時代前期の1673年に始まりました。呉服店である越後屋(現在の三越)の創業です。
三井家の4男4女の末子、高利(たかとし、1622~1694年)は、才能あふれた人でしたが長兄らに疎まれて28歳のとき江戸から郷里の松坂に戻され、母・珠宝たちの面倒を見ていました。しかし彼は子どもや優秀な若者たちを次々江戸に送り込み、研鑽を積ませます。
24年後、長兄が亡くなると、高利は江戸のど真ん中、呉服街の本町に間口9尺(2.7m)の小さな店を出したのです。52歳になっていた高利は、長子高平(たかひら、21歳)たちを松坂から指揮しました。
老舗呉服店が建ち並ぶ中、後発であった越後屋は、思い切った施策を打ち出します。「現金掛け値なし」とうたったのです。
・普通は節季払い(集金が年に2~3回のツケ払い)中心→その場で現金払いのみ
・普通は相手や場合により値段が違う→誰でも同じ定価販売
・普通は相手や場合により値段が違う→誰でも同じ定価販売
いずれも、これまでの常識を打ち破るものでした。それは、現金払いによって、呉服店の資金繰りや貸し倒れリスクが著しく改善したというだけではありません。顧客にとっての価値が大きかったのです。
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