日本だけでない「世界的な人口減少」は不可避だ 「人口・出生率・死亡率」の深い関係を分析

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そして、1974年の「第1回日本人口会議」において出された「子どもは2人まで」という宣言以降、今に続く少子化が始まります(『日本で「子どもは2人まで」宣言が出ていた衝撃』の記事参照)。現在、日本は「少産少死」のステージにありますが、やがて世界に先駆けて「少産多死」国家となるでしょう。

日本が世界に冠たる超高齢国家であることはご存じのことと思います。最新の2019年9月実績では、全人口に占める65歳以上の高齢者人口は3588万人、総人口比28.4%と過去最高を記録し、当然世界一の高齢化率です。

世界各国との比較は?

前ページのバブル図には、2015年時点の世界各国の位置もあわせてプロットしています。現代は第一段階というべき「多産多死」ステージの国はありません。第二段階の「多産少死」ステージにあるのはアフリカ諸国など、欧米諸国はほぼ第三段階の「少産少死」ステージに集中しています。

中国・インドなど人口の多いアジア諸国も同じく「少産少死」ステージにあります。図表のバブル(円グラフ)の大きさは国の総人口を表しています。大きな2つのバブルは中国とインドです。

社人研による2065年推計の位置も表示していますが、今後日本は多死ステージへと移行します。2025年から約50年連続で、年間150万人以上が亡くなっていくと推計されています。

これは、太平洋戦争時の年間死亡数に匹敵します。戦争もしていないのに、戦争中と同等の人が死ぬ国になるのです。しかも、2039年以降は全死亡者の85%が75歳以上で占められることになります。

これは、1951年から2011年まで、死亡率わずか10.0未満の状態が60年間も続いた希有な状態の反動です。戦後の日本の人口増加というものは、ベビーブームだけではなく、この「少死」現象によるものですし、今後の日本の人口減少もまたこの「多死」によるものです。

少子化も人口減少もマクロ視点でみれば、人口構造上の問題であることがわかると思います。そして、この日本が歩むのと同じ道を今後世界各国も進むことになります。

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