欧州で伸びる鉄道利用、理由は「飛ぶのは恥」 航空会社も短距離区間は鉄道シフト促す動き

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KLM便の列車への置き換えが可能となったのは、アムステルダムのスキポール空港がターミナル直下に鉄道駅を有し、航空機と列車の乗り継ぎが非常に便利なことも理由であろう。KLMオランダ航空は二酸化炭素排出量の削減へ向けて積極的に取り組んでいる企業の1つで、今後も短距離の区間については、鉄道への置き換えもいとわないという姿勢を示している。

また、短距離便の鉄道への置き換えにより、逼迫しているスキポール空港の発着枠を長距離路線に明け渡すことができる、別のメリットもあると述べている。

単なる競合から連携深化へ

鉄道と航空機の連携としては、ドイツ鉄道(当時は西ドイツ国鉄)とルフトハンザドイツ航空が、すでに30年以上前から実現している。ドイツは中小規模の都市が国内に点在しており、200km程度の距離しかない区間にも航空機を飛ばしていたが、採算が取れないという問題に直面し、フランクフルトを発着する一部の便を鉄道へ置き換えたのが始まりだ。

ただ、当時は環境問題ではなく、採算性改善のためにルフトハンザとしては手を組まざるをえなかった、というのが実情だ。当初は、ルフトハンザが車両を丸々借り切って走らせていたが、現在はフランクフルトを発着するICEの座席の一部をルフトハンザの乗客へ提供する形で、同様のサービス(AIRail Service)を継続している。

倒産の危機に追い込まれたアリタリア航空の航空機。一時はイタリア鉄道が買収に乗り出し、裁判所が待ったをかけたものの、今後は鉄道・航空両業界が手を組む日が来るかもしれない(筆者撮影)

現在の一般市民における環境意識の高まりを考えると、駅がターミナルビルの直下にあり、長距離便が発着する空港限定という条件は付くものの、今後も短距離区間を鉄道へ委託する流れが加速する可能性が考えられる。

あるいは、倒産の危機に瀕しているアリタリア航空をイタリア鉄道が買収しようと試みた例のように、これまで考えも及ばなかった、鉄道会社と航空会社の統合という話が出てこないとも限らない。

近い将来、鉄道と航空は単なる競合から、より連携を深めていく新しい時代が来るかもしれない。

橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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