欧州で伸びる鉄道利用、理由は「飛ぶのは恥」 航空会社も短距離区間は鉄道シフト促す動き

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Flygskamに賛同するスウェーデン人の一部のビジネスマンは、ロンドンやフランクフルト、ジュネーブへの出張ですら、約24時間かけて鉄道で移動しているという。これらはいずれの都市も、航空機なら片道2~3時間で、日帰り出張も可能な距離だ。

スウェーデンから発祥したFlygskam(飛び恥)という言葉は、徐々に欧州全体へ浸透してきている。一部の航空会社には影響も出始めている(筆者撮影)

北欧最大手の航空会社、スカンジナビア航空(SAS)のCEO、リカード・グスタフソン氏は、航空交通量の減少を招くこの動きを非難しており、「この運動によって業績に影響が出始めると確信している」と不快感を示した。国際航空運送協会(IATA)のCEO、アレクサンドル・ド・ジュニアック氏も、「この運動は揺るぎなく、徐々に広がりを見せていくことだろう」と懸念を示している。

日本では、表面上は環境に優しくという言葉を口にしつつも、いまだに「時間と金」を最重要視する傾向が強く、1分でも早いルートで、1円でも安い乗り物を選びたいというのが一般的な考え方だろう。

このように自ら損や不便を被っても環境問題に取り組む欧米人の感覚は理解しがたいかもしれないが、それだけ環境問題に対して、シビアな考えを持っていると言える。

一定距離以上は飛行機が便利

とはいえ、「時は金なり」という言葉があるとおり、鉄道を使うにはあまりにも長すぎる距離ですら飛行機には乗らないというのは極端な話だ。ビジネスではなく、ただ旅をするだけなら鉄道を利用するに越したことはないが、一般的にはある一定の距離以上では航空機が必要不可欠な交通機関と言える。

英国と欧州大陸を結ぶ唯一の陸路であるユーロスター。ロンドン―パリ、ブリュッセル間は航空機を圧倒するが、その先まで鉄道で行こうとする人は少ない(筆者撮影)

筆者もロンドンに在住していた際は飛行機のヘビーユーザーであった。イギリスから欧州大陸へは海を越えなければならず、唯一の陸路であったユーロスターは、当時はフランスとベルギーへの路線しかなかった。両国以外への移動となれば、わざわざ乗り換えてまで鉄道を使うかどうかは状況次第だ。

Flygskamを提唱する一人のグレタ・トゥーンベリ氏が、実はまだ10代の女子高生という点も、理想と現実が離れすぎてはいないか、という意見につながっている。

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