「金正男暗殺事件」の実行犯女性が語った新事実 事件から2年7カ月、衝撃の犯行の舞台裏とは
ハノイ市内でインタビューに応じたドアン・ティ・フオンは開口一番、われわれにこう語った。
「インタビューは最初で最後です。ベトナム・ハノイに戻ってきましたが、ハノイでの生活は大変です。何から何までやり直さなければいけません。住むところからいい仕事に就くこと。これは簡単なことではありません。それでも、幸せなこともあります。
ハノイで暮らせること、家族と会えること。そして教会に行って祈ることができます。何をして過ごしているか?ですか……とくにありません。でも、仕事をしたいです。毎週末、教会に行き、家族を養いたいです。夢はたくさんあります。働くことです。そして家族を養いたい。ずっと家族と暮らしたいです。普通の仕事。企業に勤めたいです」
多くの人から興味の目にさらされ、定職にも就けず、引っ越しを繰り返し疲れ切った表情の彼女はわれわれ取材班に笑顔を見せながら答える。
しかしそれでも時折、感情が高ぶるのかインタビューが中断することもままあった。
フオンはわれわれには想像もできないつらい日々を送っていたのだ。
暗殺実行の2カ月前、2016年12月初旬にフオンは友人の女性に連れられ、ベトナム・ハノイのバーで1人の男を紹介される。男はミスターYと名乗った。ミスターYは両親がベトナム人と韓国人で、韓国のメディア関連の会社に勤務していると話したという。このミスターYこそが、北朝鮮の工作員だった。もちろん、フオンはそれを知らない。以下は、フオンとのインタビューの内容の一部だ。
本人の告白
A:友人が紹介してくれたので彼(ミスターY)のことはよく知りません。私が到着したときに彼はすでにその店にいました。彼は、ショートムービーやイタズラ動画について話しました。私に女優になってほしいとも。電話番号を聞かれて写真を撮られました。
Q:次はどこで会った?
A:イタズラ動画をハノイの劇場の前で撮影すると連絡がありました。日曜日の午後でした。イタズラ動画を1つ撮影するということでした。彼はランダムにターゲットを選び、私は見ず知らずの人にキスをしようとするのですがうまくいきませんでした。私は謝って彼のところに行きました。でも怒られることはなくて、次は頑張ろうと励まされました。それでコーヒーを飲みに行き、彼は失敗した動画を見せてくれました。
Q:イタズラ動画の内容は?
A:どうやってやるか説明を受けました。どう動けばいいのか。彼が誰かを選び、私がその人にキスをします。そして謝るんです。
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