部下をダメにする上司ほど「秘密主義」通す理由 無駄な隠し事は「部下のヤル気」を削ぐだけ

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想像してみてください。

もしも部下が、あなたと同じ量の「情報」を持っていたら、どう変わるでしょうか?

ものすごく意識が上がると思いませんか?

「情報格差」さえなくせば部下の意識が上がるのだから、ここから始めない手はないのです。

何も難しいことではありません。

部下の意識を変えるために、「情報格差」を埋める。

具体的に言えば、あなたの持っている情報を、会社が許す限りの範囲でそのまま渡してしまえばいいのです。

情報の質と量をあなたと同じレベルにまで高めていけば、部下の意識格差は消えてなくなります。

情報格差を埋めないとどうなるか

私自身、情報格差を埋めることができず、大失敗した経験があります。

あるイベントの企画・運営の責任者を任され、イベントの目的、内容、進行や映像コンテンツの作成、集客や予算管理まで、すべてのナビゲーションをする役割を担うことになりました。

1人で成功させることは不可能なので、20人ほどのメンバーで動いてもらわなくてはなりません。まさに、仕事を任せることが重要なミッションでした。

イベント進行の台本を充実させるチーム、映像コンテンツをつくりあげるチーム、集客を行うチームなど、役割ごとにチームを分け、私はそれぞれのチームと打ち合わせを進め、決定し、結果的にイベントは大盛況で幕を閉じました。

しかし、私は責任者として不満がありました。メンバー全員に対して、「意識が低い」と感じていたのです。誰も全体を考えていない。誰もイベントの成功を本気で考えていない。そんな不満を持ちながら進めていた私でしたが、イベントが終わって打ち上げの場で、意外な事件が起こりました。

女性スタッフの1人が、「もう高野さんとは仕事をしたくない!」と泣き出したのです。私は驚いて、なぜそう思ったのかを詳しく聞きました。すると、私がチームごとに話した内容を共有せず、勝手に進めるので、信頼されていないと感じてやりがいがまったくなかったと言うのです。

決定事項も聞いていないことばかりで、メンバーはイベントを進めるための駒にすぎなかったのではないか……。

そんなスタッフに対して、私は「意識が低い」と不満を募らせるばかりで、情報を共有せず、その結果「あなたのことを必要としていない」という誤ったメッセージを送ってしまっていたのです。

「情報格差」があるから「意識が低い」というのは任せる側の視点であって、任される側からすれば、「情報格差」によって「信頼されていない」となってしまっていたのです。とんでもない悪循環です。

私は深く反省し、スタッフ全員に謝罪しました。そして翌年のイベントでは、すべての打ち合わせを議事録に残し、情報の共有に努めました。

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