止まらぬ日韓対立、興味本位では済まない現実 米韓同盟軽視、揺らぐ北東アジアの安保秩序

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日韓基本条約をはじめとする日韓関係は、主に韓国内の保守派政権によって形作られてきた。ところが、保守派と対立する進歩派の文大統領にとって、内政外交すべてにわたって保守派の遺産は否定の対象でしかない。日韓関係の外交的遺産も例外ではない。文大統領がこのまま日韓基本条約や請求権協定の価値を否定し続ければ、「1965体制」は危機に直面することになるだろう。

そして、同じことが米韓同盟にも起きている。

韓国政府は、事前にアメリカと十分な調整もないままGSOMIA破棄に踏み切った。アメリカが批判するのは当然のことで、国務省や国防省の幹部らが次々と「深い懸念と失望」「無責任」などという言葉で不満を表明した。8月下旬に行った竹島での訓練についても、「役に立つ訓練ではない」「日韓関係を悪化させるだけだ」と批判している。

米韓同盟に否定的な姿勢を見せる文政権

ところが、韓国政府はアメリカの批判に猛反発。外交部次官は駐韓アメリカ大使を呼びつけて「自制」を要求した。韓国政府内からは「重要な同盟関係であっても韓国の国益よりも優先することはできない」と、米韓同盟よりGSOMIA破棄のほうが優先されるという発言まで飛び出している。

さらに、韓国政府はすでに合意している在韓米軍基地の返還を急ぐようアメリカに要求しているのだ。まるで「アメリカは余計なことに口をはさむな」と言わんばかりの姿勢である。

しかし、文在寅政権の米韓同盟に対する消極的、否定的な姿勢は、急に表面化したわけではなく、政権発足当初からあった。朴槿恵政権時代にアメリカが要求した韓国内へのTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の配備を受け入れると、これに批判的な中国が韓国を相手に猛烈な不買運動などを展開し、韓国は経済的に大きなダメージを被った。

これを受けて文政権の康京和外相は、2017年に中国の求めに応じ「THAADの追加配備はしない」「日米韓三国同盟は結成しない」などという方針を打ち出した。

日米韓同盟より中国との関係を重視する姿勢を明らかにしたのだった。また、日本やアメリカが積極的に打ち出している「インド太平洋戦略」についても、韓国政府は参加する意思のないことを表明している。

日本から見ると、北朝鮮の核やミサイル、さらには中国の圧倒的な軍事力と向き合っている韓国が、アメリカや日本と同盟関係を組むのは当たり前だろうと考えるが、文大統領はそうではないのだ。

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