頭の回転が速い人とそうでない人の圧倒的な差 アウトプット能力まで高める記憶力UP法とは

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ドリルとあわせて取り組むとより効果的な、普段からできるトレーニングもあるのでご紹介しましょう。やることはシンプル。名詞を1つ設定し、その言葉の上位概念か下位概念の名詞を探します。上位概念ならより抽象的、下位概念ならより具体的な言葉にしていくのです。

例えば「犬」であれば、1つ上は「哺乳類」さらに上が「動物」といった具合です。最初に設定した名詞が抽象的であれば具体的にしていってもかまいません。「動物」で始めたのなら下位概念の「哺乳類」さらに下に「犬」というように続けていきます。最低2段階先まで、なるべく早く見つけるクセをつけましょう。2段階以上続けてもOKです。

新聞を読んでいるときに適当に指を置き、指した言葉で考えてみたり、電車に乗っているときにパッと目についた言葉で考えてみたりと、いつでもどこでも取り組めます。特別な道具も使わず、意識さえしていればできるので、ぜひお試しください。

読むスピードを意識的に上げるとより多く記憶できる

記憶には、一度でじっくり覚えるよりも、薄い記憶を重ねて覚えたほうが長く頭に残る「分散効果」という性質もあります。例えば英単語100個を4時間で覚えるとしましょう。じっくり4時間かけて1日で覚えたAさんと、1日1時間で全体をざっくりと覚えるのを4日繰り返したBさんがいます。どちらも同じ4時間を費やしますが、一般的に長く記憶に残せるのはBさんです。つまり同じ時間を費やすなら読むスピードを速くするほうが一石二鳥。

『見るだけで勝手に記憶力がよくなるドリル』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「本や参考書を読むスピードが遅いから……」という方でも大丈夫。意識して読む速度を普段の倍にしてみましょう。1ページ読むのに1分かかっていた人は30秒、30秒かかっていた人は15秒を目標にするのです。

速く読むには、理解速度を上げなくてはいけません。そこでより早く理解するために、脳はフル稼働し、自分が持っている知識と新規情報を照らし合わせようとします。最初はもたつくかもしれませんが、続けていくうちに脳はその状態に慣れていき、脳を上手に使えるようになるというわけです。これも本来、記憶力のトレーニングの1つ。「自分が持っている情報と覚えることを照らし合わせる意識」を鍛えてくれます。

試験勉強もビジネスも、脳の力を鍛えれば、今まで以上に効率よく結果が出せるようになります。脳の力を鍛える方法の1つとして記憶力アップトレーニングを活用してみてはいかがでしょうか。

池田 義博 記憶力日本選手権大会最多優勝者、世界記憶力グランドマスター

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いけだ よしひろ / Yoshihiro Ikeda

一般社団法人記憶工学研究所 MEI 所長。ライフキネティック日本支部アンバサダー、アクティブ・ブレイン協会テクニカルディレクター。50万部突破のベストセラーシリーズ『見るだけで勝手に記憶力がよくなるドリル』(サンマーク出版)など著書多数。テレビやラジオの出演も多い。
池田義博オフィシャルサイト
https://ikedayoshihiro.com/

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