日韓不和など「どうでもいい」トランプの関心 アメリカ政府高官とトランプの考えは違う
いくつかの事案に関しては日本政府もトランプ政権内部の専門家をしっかりと注視している。例えば、貿易問題では、日本政府はロバート・ライトハイザー・アメリカ通商代表の発言に細心の注意を払っている。そして北朝鮮のミサイルといった、アメリカ政権内の一部と利害が一致する問題については、日本側は自らに有利な見解を広めようとする。だが、「対韓関係といった面倒な事案については、日本側は無視している」とグリーン氏は言う。「気付かないふりで済ませるというわけだ」。
日本政府の高官がトランプ政権高官の公平な申し立てに耳を傾けない理由はもう1つある。アメリカ政府の非難が文大統領と韓国政府に主に向けられている限り、日本政府にとっては密かに都合がいいものだからだ。
アメリカ政府高官は日本に「同情的」
「トランプ大統領はGSOMIA問題自体についてあまりよくわかっていない可能性もある」と、安全保障にかかわる日本の高官は話す。「だが、韓国がアメリカの安全保障を損ない始めたことをトランプ大統領ももう理解はしているだろう」。
こうした韓国への見方は、トランプ大統領から政権内部へと広まっている。日本がその隣国と抱える問題について、アメリカ政府高官はおおむね日本に対して同情的だ。
「(国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・)ボルトン氏は韓国を不愉快だと感じている」と、戦略国際問題研究所(CSIS)で日本研究プログラムを率い、政権内の高官と現在も緊密に連絡を取り合うグリーン氏は言う。「とはいえ、ボルトン氏もトランプ大統領もマイク・ポンペオ国務長官も、同盟国を味方につけておくことにあまり腐心しておらず、それがどういうことなのか理解もしてないのではないか」。
グリーン氏と彼の同僚で同じくブッシュ政権時のNSC高官だったビクター・チャ氏は、2つの同盟国間の関係が途絶してしまう流れを止める方法を見出すにあたってアメリカが取りえた手段はいくつかあったという記事を韓国の新聞に寄稿した。
アメリカ政府は輸出管理についての3国間会議を呼びかけることもできたし、政府元高官を送り込んで調停を試みることもできたはずだ。しかし、現実には、トランプ大統領はそのような取り組みを進めることに興味がないのである。
韓国政府は、アメリカの政策は「日本贔屓」との認識が政府最上層部において深く浸透している。文政権はアメリカ大使を呼び、GSOMIAについてだけではなく日本海上の係争中の島嶼群周辺で行った軍事演習に対するアメリカの批判についても苦情を申し立てた。
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