大手私鉄「営業利益率ワースト1」の意外な名前 稼ぐ力の指標で見た16社それぞれの事情
4位の相鉄は前年度3位と同じく上位組だが、今後は様相を異にしそうだ。今年11月にJRとの相互直通運転を開始、2022年度下期には東急電鉄との相互直通運転が始まる。
これらは収入増につながる可能性があるが、両社との相互直通に向けて新型車両を200両以上投入する。また、2022年度までに全駅にホームドアを設置する計画もある。これらの減価償却費によって費用は膨らむ。相互直通運転による利用客増の効果が出るまではある程度の時間がかかりそう。それまでの間は営業利益率は低下するかもしれない。
5位の京急も今年10月に同社のドル箱である空港線の加算運賃引き下げを実施する。これによりライバルの東京モノレールからの利用者転移も期待できるが、モノレールも定期券の値下げなど対抗策を打ち出しており、今後は定期外でも対策を繰り出す可能性もある。利用者増の効果よりも運賃引き下げの影響のほうが大きいかもしれない。営業利益率に与える影響が気になるところだ。
ワースト1位は京王、その理由は?
続いて、ランキング下位の鉄道会社を見ていこう。ワースト1位は京王電鉄で13.5%。同社の輸送人員は東京メトロ、東急電鉄、東武鉄道、小田急電鉄に次ぐ第5位の規模であり、財務体質もいい。昨年からは有料座席指定列車「京王ライナー」も導入して収益増にも力を入れている。人件費、修繕費、減価償却費などの費用も突出して増えているわけではない。
営業利益率が低い理由について同社に聞いてみたところ、「安全性、サービス向上の観点から費用を減らすことはできないという点はあるが、むしろ運賃水準が影響しているのではないか」という回答があった。
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