ベンツが初の電気自動車「EQC」を投入する意味 価格は1080万円!1回の充電で400km走行
EVは、単にバッテリー積載容量を増やせば一充電走行距離がその分伸びるわけではない。なぜなら、増えたリチウムイオンバッテリーの重量が、消費電力(燃費ならぬ電費)に影響を及ぼすからだ。
例えば、日産リーフの場合、搭載バッテリー容量に40kWh(キロワット・アワー)と62kWhの2種類がある。40kWhのリーフは車両重量が1510kg(Xグレード)であり、62kWh(同じくXグレード比較)では1670kgと、主にバッテリー重量増分で160kg重くなる。そして一充電走行距離は、40kWhが322km(WLTCモード)であるのに対し、60kWhは458kmだ。
40kWhから62kWhへ、バッテリー容量を1.55倍増やしたが、一充電走行距離は1.42倍の伸びにとどまっているのである。
以上のように、EVの走行距離と、搭載するリチウムイオンバッテリーの容量は必ずしも比例関係にはない。したがってどこかに合理的な落としどころを見つけなければならない。
最高速度は時速180kmに設定
また電費だけでなく、体積の面でもリチウムイオンバッテリー量が増えれば、客室や荷室の広さに影響を及ぼす。もちろん、販売価格も上がる。
したがって、初代の日産リーフが発売されてから10年近くが経つ今日、EVの一充電走行距離は400kmという水準が正当な答えであることが、メルセデス・ベンツをもって明らかになり、定められたといえるだろう。
さらに主要諸元で注目すべきは、最高速度を時速180kmと割り切ったことだ。速度無制限区間のあるアウトバーンを持つドイツの主力自動車メーカーが、速度制限を自らに課した意味は大きい。これにも、とくにドイツ国内では反発の声があるかもしれない。しかし、それも時間とともに収束していくだろう。
たとえ、燃費がよいディーゼルエンジン車でさえ、時速200km以上で走行すれば燃費は大きく悪化する。なぜなら、空気抵抗は、速度の2乗で比例して大きくなるからだ。時速100kmで走っているときに比べ、時速200kmで走れば空気抵抗が4倍になるという意味である。
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