名門ラジオ局「エフエム東京」が不正会計のなぜ

鳴り物入りの新事業「i-dio」不振を隠ぺい

エフエム東京の黒坂修社長は「放送事業者としてあってはならない事態を発生させた」と言って頭を下げた(記者撮影)

「番組出演者の皆様、エンタメ業界の皆様、そして何よりリスナーの皆様に大変なご心配をおかけした。国民の共有財産である電波をお預かりし、公共性の高い放送事業者としてあってはならない事態を発生させた。心よりお詫び申し上げます」

「TOKYO FM(トウキョウ エフエム)」の愛称で知られるラジオ局大手・エフエム東京の黒坂修社長は、8月21日の記者会見でこう言って謝罪した。

3年間にわたって約11億円の損失を隠匿

エフエム東京は同日、5月に設置した第三者委員会の調査報告書を公表した。それによると、2016年度から3期にわたる決算で、当時の経営陣が新規メディア関連子会社「トーキョー スマートキャスト」(TS社)で生じた赤字を隠匿するために、エフエム東京などが保有するTS社株を異動させることによって、TS社を連結対象から不当に除外するなどの不正会計がなされていた。

不正会計発覚のきっかけは、エフエム東京や同社の会計監査を担当する監査法人への内部通報だった。本来、計上されるべきであった営業損失は3年間で約11億円にのぼる。エフエム東京の2018年3月期の営業利益は15億円弱と発表されていたが、TS社の2018年3月期の営業損失4億円超を加味すると、実際の営業利益は約10億円だった計算になる。

そのほかにも、銀行を介してTS社に貸し付けを行った際、必要な取締役会への報告を怠ったり、エフエム東京のラジオ番組に関する広告会社との取引に、TS社を関与させて手数料を供与していた点も問題だと指摘されている。

TS社が手がけていた新規メディアは、「i-dio」という地上波デジタル放送兼インターネットラジオ。専用の携帯端末や車載型の受信機で移動しながらでも情報が入手できることがセールスポイントで、高音質で映像や文字も楽しめる新しいメディアだ。2013年3月にエフエム東京が公表した資料には、「ラジオを活性化し、ひいてはラジオの価値向上につながっていくことが期待されます」という意気込みが記されている。

次ページ債務保証含め、i-dioに100億円を投じる
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