セブンペイ突如廃止!見切り発車の重い代償 わずか1カ月でサービス廃止を決断したわけ

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さらに、セブン&アイグループ以外の企業にセブンペイを導入してもらうことで決済情報を広範囲に取得する狙いもあった。こうして得た情報をもとに商品・サービス開発やクーポン配信などを行い、売上高や利益の向上につなげる計画だった。

今後のデジタル戦略について、後藤副社長は「7iDはデジタル戦略の要。デジタル戦略を今後の成長の柱とすることに変わりはない」とする。セブンペイは廃止となったものの、今後自社でのスマホ決済サービスの導入について、「具体的な構想は決まっていないが、スマホ決済の領域にチャレンジしたい」と「再参入」へ意欲を見せる。

トップ不在の会見に募る加盟店の不信感

しかし、状況を打開するのは容易ではない。一連の騒動によって消費者が不安を抱いただけでなく、加盟店の間にも不信感が募っている。

今回の会見には、セブン&アイHDの井阪隆一社長やセブン・ペイの小林強社長は姿を見せなかった。その理由について、後藤副社長は「ホールディングスでは私が代表取締役としてデジタル・金融を管掌しているため、代表して登壇した。ホールディングスの取締役会で廃止を決定し会見をセットしており、ホールディングスとして質問に答えるのに適切かという判断の中で奥田(セブン・ペイ営業部長)が参加した」と答えた。

だが、ある都内の加盟店オーナーからは「本部の責任感を感じられなかった。あれだけの失敗をしたのだからホールディングスのトップが謝罪するべき」との声が上がる。

セブン&アイHDが目標とするデジタル戦略を形にするためには、消費者や加盟店などの信頼回復が不可欠だ。さらに、顧客側が「情報を提供してもよい」と思える新たな決済サービスづくりも求められる。セブン&アイの失地回復の道のりは、厳しいものになりそうだ。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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