萩生田氏「衆院議長交代」発言、本当の狙いとは 政権3本柱を全員異動させ、安倍新体制づくり

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夏休み明けの安倍首相は側近の言動に表立って反応せず、菅義偉官房長官も「政府としてのコメントは控える」とそっけない対応だ。その一方、議長を支える立場の高市早苗・衆院議院運営委員長は「賛同できない。議長は憲法審だけでなく、衆院全体の運営に責任を持っている」と指摘し、立憲民主党の手塚仁雄・議運委筆頭理事も「無礼千万だ」と猛反発した。このため萩生田氏は大島氏に謝罪したとされるが、発言の意図については明確にしていない。

また、二階氏は7月30日の会見で、萩生田氏から「言葉足らずで誤解を与えたようだ」と29日に釈明があったことを明らかにした。これを受けて二階氏は、慎重に発言するよう注意したと説明した。

二階幹事長の後任に取り沙汰される人物

萩生田氏の発言は、安倍首相が夏休み中の7月26日夜のインターネット番組で飛び出した。首相に近いとされる保守派ジャーナリストらとの討論の中で、「(安倍)総理が(衆院)議長を二階さんにお願いすれば、それは安倍さんが絶対にやり遂げる意思と解釈していいか」「弱い議長だと院は動かない」などと水を向けられ、萩生田氏は「憲法改正するのはまさしく国会。最終責任者は総理でなく、議長だ。大島さんはどちらかといえば調整型、今のメンバーでなかなか動かないのなら、有力な方を議長に置いて、憲法改正シフトで国会が(憲法論議を)行っていくのは極めて大事だ」と語った。

大島氏は、体調不良で議長を辞職した町村信孝氏(元外相、故人)の後任として2015年4月に議長に就任して以来、2017年秋の衆院選後も続投している。その間、安倍政権の強引な国会運営に警鐘を鳴らすなど、「物言う議長」としても知られ、憲法審査会での改憲論議についても「自民党の暴走の抑止役」(立憲民主幹部)とみられている。

立法府のトップとなる議長職は、衆参それぞれ国政選挙があった場合に交代するのが慣例だ。にもかかわらず、この段階で首相側近が議長交代論を打ち上げたのは、「次の党・内閣人事に絡めた観測気球」(自民幹部)と受け止める向きが多い。しかも、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官と並んで政権の3本柱と位置づけられる二階氏が議長に転身すれば、「党内の権力構図も大きく変わる」(自民若手)のは間違いない。

当然、党内では後任幹事長が誰かも話題になっている。ポスト安倍の有力候補で「次期幹事長狙い」とされた岸田文雄・政調会長は、「参院選での自派議員の敗北で脱落した」(自民幹部)との見方が支配的。岸田氏以外で一時有力視された竹下亘・前総務会長は病気で長期療養中だ。となれば、「幹事長が務まるのは菅官房長官以外には見当たらない」(自民長老)というのが党内の大勢だ。

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