「引っ越し大名!」は究極のサラリーマン映画だ 星野源の主演映画は「国替え」の実話がベース
原作は土橋章宏の傑作時代小説『引っ越し大名三千里』。映画にもなった『超高速!参勤交代』や『幕末まらそん侍』など、これまでになかったユニークな視点で時代劇の新しいジャンルを開拓した土橋は、「引っ越し大名」という言葉に面白みを感じると同時に「会社に無理やり転勤させられる現代のサラリーマンの悲哀みたいなものも感じた」という。
「参勤交代は一部の人だけが江戸に行けば済むけど、引っ越しは家族総出で人数もお金もかかる。しかもそれを何度も繰り返すのは相当大変だろうから、これは書きごたえがあると思いました」
土橋が原作・脚本を担当した映画『超高速!参勤交代』シリーズでタッグを組んできた矢島孝プロデューサーは、映画化の経緯を「大名が引っ越しをするという面白さと、タイトルのわかりやすさにまず惹かれました」と振り返る。
映画を2時間程度におさめるためには、ある程度のアレンジが求められるが、原作者の土橋みずからが本作の脚本を担当することになり、理想的な形に落とし込むことができたという。
矢島プロデューサーは「土橋さんとは2011年の城戸賞からの付き合いなので、僕にとっては優れた小説家であると同時に優れた脚本家であるという印象が強い。この題材が映画でいちばん面白くなるためにはどうしたらいいか? という話を一緒にできて、いつも本当にありがたい」と満足げに語る。
人間ドラマに定評がある犬童一心監督がメガホン
本作のメガホンをとるのは、『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『グーグーだって猫である』など、繊細な人間ドラマに定評がある犬童一心監督。
「この映画はサラリーマンものとして作っています」と語る犬童監督は、「春之介の場合はバカがつくほど真正直で、失敗したと思ったらきちんと謝って、笑顔で乗り切る。これは彼なりのやり方で完遂するリーダー論なんです。正直であろうとする、その一点突破なのですが、実はそれが最も難しいことでもあります」
そしてもう1つの魅力は、原作者の土橋をして「神キャスティング」と言わしめた俳優陣だ。
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