日産「スカイライン」のデザインに透ける思惑 マイナーチェンジなのに、珍しい大胆な変更

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GT-RのVモーショングリルは微妙に異なる(筆者撮影)

新型スカイラインについて、「GT-R顔になった」という意見もあるが、GT-Rのそれと見比べると明確に違うことが理解できる。「リーフ」や「エクストレイル」とも別物だ。日産がVモーショングリルを車種にあわせて微妙に最適化していることが理解できる。

今回のマイナーチェンジは、カルロス・ゴーン前会長が逮捕されてから1年以内の出来事でもあり、ゴーン色一掃のために行われたという感想を抱く人がいるかもしれないが、通常はマイナーチェンジでさえデザインには2年ほどかけるものであり、逮捕を受けての改良でないことは確実である。インフィニティの西欧市場撤退との関係も考えられるものの、販売実績を見れば日本市場の活性化と考えるのが自然だろう。

ライバルの「マークX」は生産終了に

ただし現行型がインフィニティ仕様への共通化によるコスト削減、当初はハイブリッド専用車としたことによる付加価値向上という方向性があったのも推測できることで、1つの商品から大きな収益を上げようと考えていたことが想像できる。

ステアリングにも日産エンブレムが復活(筆者撮影)

開発現場ではその状況を見て、このままではスカイラインの未来はないという懸念を抱き、日産らしさ、スカイラインらしさを取り戻すべく、限られた予算の中で、できる範囲での修正をかけたのではないか。

長年スカイラインとライバル関係にあったトヨタ自動車の「マークⅡ」は、後継車の「マークX」が今年限りで生産終了となる。あのトヨタでも、プレミアムブランドではない後輪駆動セダンを単独で開発するのは難しい状況なのである。

それを考えれば今回のマイナーチェンジは、日産がスカイラインの存続を宣言したメッセージに感じた。願わくば旧型のような手の届きやすいベースモデルを復活させてほしいところだが、これを機に今後の同社の国内向け車種の展開が変わっていくことを期待したい。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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