確かにそこにはサーフィンラインも丸型テールもなかった。しかし当時の日産の経営状況や、GT-Rが独立した車種として復活したことを見て、納得する人も多かった。
この頃はまだ2ドアクーペがあったし、エンジンは伝統の直列6気筒ではないが6気筒自然吸気で、マイナーチェンジで丸型テールランプを復活させるなど、日産側にもスカイラインの伝統を尊重する気持ちがあることが伝わってきた。
インフィニティのエンブレムを装着
ところが2013年発表の現行型は、日産車でありながら日産のエンブレムはなく、フロントグリルやステアリング中央にはインフィニティのエンブレムを装着していた。しかも当初のパワーユニットはハイブリッドだけで、上級グレードの価格は500万円を超えた。そのため旧型の廉価版を併売するほどだった。
これまでのスカイラインよりも上級移行したためにインフィニティのエンブレムを掲げたというのが日産側の説明で、インフィニティ・ブランドを日本でも展開するための布石とも取れたが、昔からのスカイライン・ファンにはネガに映った。
しかも遅れて追加された、旧型の廉価版の市場を受け継ぐ車種は、アライアンスを組んでいるダイムラーから供給される2リッター直列4気筒ターボエンジンを積んでいた。それまでもスカイラインに4気筒がなかったわけではないが、車名はTIやRSで、GTの2文字は使わなかった。それがスカイラインの流儀だった。ところがダイムラーの4気筒ターボ搭載車は200GT-tと名乗っており、伝統が途切れた。
直近までこういう状況だったので、エンプレムだけでなくグリルそのものを日産スタイルとし、リアは丸いテールランプを復活して、ターボエンジンは北米などに投入していた3リッターV6ターボとするなど、日産のスカイラインであることを強調するような内容には、少なからず衝撃を受けた。
しかも実車を見ると、意外にも取ってつけた感はない。グリルのV字の先端はフロントフードのキャラクターラインと、センターの太いバーは両脇のバンパーの盛り上がりとつながっている。大胆な改革に見えて実は慎重に検討したデザインであることがわかる。
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