スマホで敗れた「ノキア」が再び復活できた理由 大変革を率いた現役会長が語る激動の日々
iPhoneになぜ大敗したのか
――そもそもスマートフォン市場で大敗した原因はどこにあったのでしょうか。
私が会長になってすぐに感じたのは、すべてわれわれ自身の間違いだったということ。当時を振り返れば振り返るほど、破壊的テクノロジーにあらがうことの難しさを思い知らされる。生物の進化の過程にも似ていて、新参者が非常に優位に立つ。
ノキアはスマホが登場する以前から、旧来型の携帯電話を作っていた。このビジネスは非常に成功し、世界のトップシェアを握った。だがこの成功に固執し、スマホへの参入が遅れた。ノキアの携帯を持つ消費者にアンケートをとると、95%はタッチパネルのデバイスを使いたくないと答え、数字キーボードやQWERTYキーボードが圧倒的な支持を集めた。結局消費者の要望のうち、目に見える部分だけのものに従っていた。
さらに、旧来型携帯ではソフトウェアはあまり重要でなく、複雑性はハードウェアのほうにあった。それゆえ、当時はデバイスの機種ごとにソフトウェアの仕様が変えられていた。スマホでも複雑な仕様設計を続けてしまった。
顧客である通信会社からの要求もあった。スマホに変わったことで増える通信料について苦情を聞きたくないため、アプリを開こうとすると「追加的な通信料がかかる可能性がある」という通知をいちいち出したり、各社それぞれの仕様に合わせたメッセージアプリを搭載したりした。その結果、われわれのスマホOSはジャングルのようになっていった。
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