客数20%増!「ケンタッキー」超復活の仕掛け人

急成長の「裏」には1人の女性の姿があった

業績の回復に沸く日本KFCホールディングスだが、客数が大きく増えると、現場のオペレーション負担の増加につながり、疲弊することはないのか。

KFCの店舗で店長などを10年務め、現在はエリアマネジャーとして各店舗の指導にあたる石川雄太氏は、「むしろ店舗のオペレーションとしてはお客さんが来てくれるメリットの方が大きい」と歓迎する。

KFCのフライドチキンは、調理に時間を要する。従業員が生のチキンに衣をつけ、独自のフライヤーで15分ほど揚げる工程だ。そのため注文を受けてからの調理では間に合わず、ある程度需要を予測して調理する必要がある。キャンペーンやその日の天候などの要因を考慮して予測するが、時には廃棄ロスが発生することも避けられない。

次から次へと顧客が来店すれば、より需要予測が安定し、ロスを削減できる。客の回転が上がり、つねにできたての商品を提供することにもつながった。客数回復に伴って人員の配置を増やしていることから、負担の増加よりも、高品質の商品を出せることによる士気向上の効果のほうが大きかったようだ。

これからの姿に期待!

「大V字回復を果たすことができた」――。5月8日に開かれた2019年3月期の決算説明会の場で、日本KFCホールディングスの金原俊一郎専務は満足げにそう語った。客数、収益力とも回復してきたが、「完全復活」と呼ぶにはまだ途上との見方もある。

年間1000社超の上場企業をリサーチしている分析広報研究所の小島一郎チーフアナリストは、「かつて同社の営業利益率、ROA(総資産利益率)はともにもっと高かった。(1984年から2002年まで務めた)大河原毅社長の輝いていた時代と比べると、営業利益率3%で喜んでいるのは残念だ」と手厳しい。

もっとも、中嶋氏も現状の水準に甘んじる気はない。「回復はまだまだ道半ば。競合のチェーンやコンビニと比較しても、1店当たりの客数では及ばない。道半ばというより、(追い上げは)まだ始まったばかりだ」と話す。

中嶋祐子(なかじま ゆうこ)/日本ケンタッキー・フライド・チキンのマーケティング部長。KFC Restaurants Asia Pte. Ltd.では、日本を中心としたアジア各国のマーケティング戦略のマネジメントを担当した。2018年4月から現職(撮影:大澤誠)

今年4月には、インターネット注文の画面を改良した。入力工程を減らし、より簡単にネット注文ができるようにした。ネット注文の割合が増えれば、店側としては需要予測がより正確になり、廃棄のリスクを抑えられる。客としても、自身のスマホで注文から決済まででき、店舗では受け取るだけ。来店時刻に揚げたての商品を受け取れる。

昨年3月に導入した公式アプリは、1200万ダウンロードを超えた。外食チェーンのアプリでは、単にクーポンを配信し、店舗やメニューを検索できるだけの仕様のものが多い。

一方、KFCアプリは「チキンマイレージ」が貯まっていき、ランクが上がるほどより多くの特典が受けられる仕組みで、顧客のロイヤルティーを高める。導入2年目となる今年はデータを分析して、さらなる販売促進に生かしていく構えだ。

苦戦した近年から反転攻勢に出たKFC。真のV字回復を果たすことはできるか。2年目を迎えた今期、前年の実績を超えられるかどうかで真価が問われる。

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