北海道新幹線「牧草地帯」の新駅は何を狙うか 2031年春「札幌延伸開業」の活路はどこに

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新幹線をめぐっては、かつて、札幌医大の當瀬規嗣教授が、東洋経済オンラインに「『ドクター新幹線』」が人の命を救う日が来る」というテキストを寄稿された。この記事を思い出させる、医療をめぐる話題を、現地で耳にした。

八雲町には太平洋戦争末期、旧陸軍の飛行場が急きょ設置され、併せて病院も開設された。この飛行場はアメリカ軍の空襲に遭い、さらには進駐してきたアメリカ軍の指示で破壊されたが、病院はそのまま存続した。

やがて、国立療養所八雲病院、さらには独立行政法人・国立病院機構八雲病院と改編を経て、現在は「小児期発症の神経筋疾患専門マネジメントセンター」(同病院紹介)として機能している。筋ジストロフィー患者や重症心身障害児・者を、道内のみならず全国から受け入れ、奮闘してきた経緯を、読売新聞の医療記事サイト「ヨミドクター」の2016年記事が伝えている。

あと10年早ければ…?

だが、八雲病院は2020年8月、札幌と函館に機能が移転することになった。医療スタッフの確保や通院の便宜を考えれば、致し方ない展開のようだ。

もし、新函館北斗―札幌間の開業があと10年早ければ、別の展開もありえたのか……と、ふと思った。他の整備新幹線沿線では、新幹線開業が医師の確保に貢献している。さらに、医療スタッフ確保や医療資源の活用、患者の通院にも新幹線は大きな役割を果たしうる。とはいえ、時計の針は戻らない。

北海道新幹線の略図(国土地理院地図を筆者が加工)
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