「服すらアマゾンで買う人」が激増する根本理由

アマゾン「アパレル販売」はどこまで伸びるか

このような状況に加えて、アメリカのアパレル販売においてアマゾンの今後の成長が見込まれる理由はさらに2つある。

アパレルでもアマゾンが最強な2つの理由

理由1:蓄積した膨大なデータを「価値」に変えている

アマゾンは、ECの購買履歴に加え、「プライムワードローブ」や「エコールック」といったテクノロジーを活用した新サービスを利用して、膨大なデータを集めている。

「プライムワードローブ」は有料のプライム会員が対象で、購入前の服を自宅で試着できるサービスだ。

まず、アマゾンのファッションカテゴリーにある商品から2点以上を選択すると、専用ボックスで商品が配送される。ユーザーは1週間自由に試着し、気に入らないものは同じボックスに入れて返送する。返送料は無料で、気に入った商品はそのまま購入できる。2018年、アメリカに続き日本でもついに導入され、今後浸透が進むだろう。

このサービスによって、アマゾンは、例えば20代ニューヨーク在住の女性がどんな服を気に入り、逆にどんな服を気に入らずに返品しているのかがわかる。アメリカのプライム会員は1億人を超えているので、まさに全米の売れ筋や返品情報が日々蓄積されていることになる。

アマゾンは、これらの情報や過去の購買履歴情報を活用し、ユーザーへのレコメンデーション機能を日々改善している。前述したニューヨーク在住の20代女性のアマゾンページでは、ビッグデータに基づく精度の高い「オススメ」が毎日かわるがわる表示されるのだ。

また、アマゾンは大ヒット商品の音声AIスピーカー、アマゾンエコーの別モデルとして、「エコールック」を発売している。

「エコールック」には、音声AIスピーカーとしての機能に加え、自撮り用のカメラ機能がついている。そのカメラ機能を使うと、簡単に全身撮影が可能だ。背景のぼかしやピント調整もすべて自動でやってくれるので、ユーザーはストレスフリーで全身が入ったベストショットを撮れる。

撮影した写真を自らのSNSに投稿したり眺めたりするだけでなく、「スタイルチェック」という専用のアプリを使えば、撮影した写真をもとにAIによるコーディネートアドバイスや提案を受けられる。

この「エコールック」を通じて、アマゾンは画像情報を蓄積可能だ。そこには、「コーディネート」「カラー」「素材」「シルエット」などファッションビジネスに役立つさまざまなトレンド情報がたくさん含まれている。

このように、アマゾンは一連のサービスを通じて現在膨大なファッション関連データを蓄積している。近い将来、これらのビッグデータに基づいたさまざまな価値あるサービスが生み出されるだろう。

例えば、ユーザーの好みに応じて、季節ごとに「プライムワードローブ」が提案アイテムを送ってきたり、「エコールック」のAIコンシェルジュと相談したアイテムを、「プライムワードローブ」ですぐに試着できたりするようになるかもしれない。

蓄積された購買履歴は、そのまま消費者のクローゼットとなり、アプリやエコールックから過去に買ったアイテムを使ったコーディネート提案がされるかもしれない。消費者のワードローブ管理を、すべてアマゾンが担う時代が実現されつつあるのだ。

次ページ「日本のアパレル企業」はアマゾンとどう付き合うべきか
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 「お金で損しない」森永康平のマネーリテラシー講座
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
  • 看取り士という仕事
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
話題の「30分で絵を描く」秘訣、驚くほど簡単4手順
話題の「30分で絵を描く」秘訣、驚くほど簡単4手順
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
メタバース革命が始まる<br>全解明 暗号資産&NFT

不正流出事件から4年。復活不可能に見えたビットコイン相場は米国主導で活況を取り戻しました。暗号資産を使ったNFTの購入、そしてNFT取引が広がるメタバースにもビジネスの機会が広がっています。日本は暗号資産とどう向き合うのでしょうか。

東洋経済education×ICT