リクシル、結論は「瀬戸再任とガバナンス強化」 膨張した海外事業の混乱を収束できるか

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総会終了後、報道陣の取材に応じた株主からは「瀬戸さんが残って、CEOになる。それが株主の総意だ」といった意見や「真面目にガバナンスを問う内容が多く、本当にいい総会だった」という声が上がった。

株主総会では「本当にいい株主総会だった」という声が上がっていた(記者撮影)

同日夜に会見した瀬戸氏は「戻ってこれて素直にうれしい。昨日までは会社側・株主側の候補に分かれていたが、今日からは『ワンリクシル』だ。重要な言葉はノーサイド。1つのチームとして頑張っていく」と語った。

一方で会社側の候補者だった、松崎正年氏は取締役会の議長に就任した。松崎氏は「社外の目で瀬戸さんを監視してくれという(株主の)意思だ」とコメント。ある機関投資家も「瀬戸さんにフリーハンド(を与えたの)ではない。(リコーやミネベアミツミなどの)元経営者も含めた6人が残るということが牽制になる」と指摘する。

今回の株主総会では瀬戸氏側と会社側とで候補者が分かれ、お互いにガバナンスの改善を株主に問う形をとった。

だが、株主が下した結論は両方の候補者を選ぶというものだった。これは両者の案を取り入れた玉虫色の結論ともいえるし、株主が瀬戸氏にCEO職を委ねる一方で、幅広い分野からの社外取締役を加えることでガバナンスを効かせてほしいという意思の表れだったともいえる。

その意味で今回の結論は「前代未聞の総会だった」(参加した株主)のは間違いない。

混乱収束の後に残る課題

瀬戸氏側が提案した候補者は8人全員が選任され、過半数を取ったことで、昨年10月の電撃辞任から続いた混乱はひとまず収束した格好だ。

だが、CEOに復帰した瀬戸氏が直面する課題は小さくない。1つはLIXILの海外事業の混乱だ。連結売上高に占める海外売上高の比率は、2009年のほぼゼロの水準から買収を重ねたことで、直近で3割近い水準まで膨張している。問題となっているイタリアの子会社・ペルマスティリーザや南アフリカ事業は赤字を垂れ流しており、改善は急務といえる。

もう1つは情報開示の点にある。昨年10月の瀬戸氏解任以降、メディアや機関投資家に対する情報開示やコミュニケーションが十分だったのか。経営陣の刷新を機に、十分な検証と改善が必要だろう

「今日がゴールではなく、スタート地点だ」と瀬戸氏は強調する。経営の混乱を乗り越えて、「雨降って地固まる」状態に持って行けるか。CEOに凱旋した瀬戸氏の手腕が問われそうだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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