新幹線や車に主役を譲った…「残念な幹線」10選 現在は観光列車がのんびりと走る路線も

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9)呉線の三原―広間(広島県)

呉が軍港として栄えていたころは、呉線は重要な幹線であり、東京や大阪から直通の優等列車が走っていた。線路の規格も山陽本線と何ら遜色がないレベルで、C59形やC62形の重量級蒸気機関車が優等列車の先頭に立っていた。

呉線は現在、臨時の観光列車「瀬戸内マリンビュー」が走るのどかな路線になっている(写真:ちよく/PIXTA)

しかし、時代は変わり、呉線も広島駅よりの西半分は広島市への通勤通学路線として重要な役割を果たしているにもかかわらず、広駅以東の区間はローカル線然として列車本数も少なくなり、1時間に1本程度しか走っていない。

海岸線の美しい区間で、観光列車「瀬戸内マリンビュー」がのどかに走っている。

観光路線として再注目

10)予讃線の向井原―伊予大洲間(愛媛県)

内子線を含む新線区間がショートカットとなったため、優等列車はそちら経由に変更され、予讃線の本区間は特急列車の走らない残念な路線となってしまった。

海の眺めがよい下灘駅と観光列車「伊予灘ものがたり」(写真:black/PIXTA)

しかし、青春18きっぷのポスターの撮影地や映画・ドラマのロケ地にもなった下灘駅など、観光客に知られた海辺の駅が大人気となり、JR四国は愛称を「愛ある伊予灘線」と命名。併せて、車窓と食事が楽しめる全車グリーン車指定席の観光列車「伊予灘ものがたり」を走らせて人気の的となっている。

前回に続き、残念な幹線をさらに10路線挙げてみた。路線の歴史を通してながめてみれば、各路線の栄枯盛衰の様子がわかるであろう。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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