「しずちゃん」山里亮太の躍進支えた奔放な人柄 女優、ボクサーへの挑戦全てに意味があった

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そんな彼女は、人を笑わせることに興味を持ち、お笑いの世界に足を踏み入れました。南海キャンディーズを組む前には別の人とコンビを組んでいて、ボケを担当していました。当時はしずちゃんが自分でネタを考えていたのですが、なかなか芽が出ず、行き詰まりを感じていました。

そんなときに、自分とはまったく違うタイプの山里さんに誘われて、南海キャンディーズを結成することになりました。山里さんは、しずちゃんとは何もかも正反対の人間です。しずちゃんが自分の表現したいことをそのまま出し切るアーティスト型の芸人であるのに対して、山里さんは観客が自分たちに何を求めているのかを考えて、そのニーズに合ったものを提供しようとするマーケッター型の芸人です。

山里さんも前のコンビではボケを担当していたのですが、南海キャンディーズでは、しずちゃんの個性を生かしたほうが得策だと考えて、ツッコミに回ることにしました。そして、優しい言葉で丁寧につっこむ独自の芸風を編み出したのです。

結成2年で「M-1」準優勝

山里さんの戦略はすぐに実を結びました。結成2年目の2004年には『M-1グランプリ』の決勝に進み、準優勝を果たしたのです。ここでも山里さんのしたたかな計算がありました。2本目の漫才中に、しずちゃんが司会の井上和香さんにわざと上から目線で話しかけるくだりを入れたのです。

『M-1グランプリ』は純粋に漫才の腕を競い合う大会であるため、この手の他人をイジるようなネタはどうしても評価が低くなりがちです。これをやってしまった時点でほとんど優勝は望めない、というのは芸人ならば誰もがわかっていることでした。

それでも、山里さんはあえてそのネタをやることを選びました。優勝を狙うことよりも、しずちゃんというキャラクターの生かし方を見せたほうが、その後の仕事につながりやすいと考えたからです。この作戦は功を奏して、南海キャンディーズは大ブレークを果たしました。

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