トヨタ「電気自動車」でついに本気を出した理由

EV向けリチウム電池調達で中国企業とタッグ

EVの生産を増やすためには、中核部品であるリチウムイオン電池の安定確保が欠かせない。電池は航続距離など車の性能を左右するだけでなく、安くなってきたとはいえ依然、製造原価の3割程度を占めるとされ、価格競争力にも直結する。

トヨタ自動車の寺師茂樹副社長は、地域ごとに電池メーカーと協業する方針を示した(撮影:今井康一)

トヨタは電動車の販売計画前倒しに伴い、2025年には現在の20倍の電池容量が必要になると想定。「すべてを自分たちで賄うことはできない」(寺師副社長)と判断し、地域ごとに電池メーカーと協業する方針だ。

トヨタの電池のパートナーは長らくパナソニックだった。1996年に合弁でプライムアースEVエナジー(PEVE)という車載電池生産会社を設立(現在の出資比率はトヨタが80.5%、パナが19.5%)し、HV向けの電池を調達してきた。需要増に対応するため、今年1月には2社で車載用電池の新しい合弁会社を2020年末までに設立し、EVやPHV向けの高容量電池を開発、生産することを発表。新会社にはパナが持つ国内3工場に加え、中国・大連の工場も移管される。

加速する車載電池での協業

これまでパナと二人三脚で歩んできた車載電池事業に今後は東芝、GSユアサ、豊田自動織機、それに中国勢も加わる。CATL(寧徳時代新能源科技)とBYDの2社だ。CATLは2017年に車載用リチウム電池の出荷量でパナを抜き首位に立った。BYDは3位につけパナの背中を追う。世界市場ではパナと激しく争う中国メーカー2社とトヨタは組むことになる。

中国は国策として国内EV関連産業の発展を目指すべく、中国製バッテリーを搭載した新エネルギー車を対象に多額の販売助成金を支給してきた。ただし、すべての中国製バッテリーが補助金の対象だったわけではなく、中国政府から認定を受けたメーカーに限られていた。いわゆる「ホワイトリスト」と呼ばれるものでパナなど外資メーカーの多くは対象から外れていた。

4月の上海モーターショーでお披露目された「C-HR EV」(記者撮影)

補助金効果で数多くのEVメーカーやEV関連企業が生まれたが、中国政府は今後競争を促進させるため、2020年に補助金を打ち切り、ホワイトリストも撤廃する方針だ。そうなれば、電池調達の自由度は増し、外資電池メーカーも中国メーカーと同じ土俵で戦えるようになる。パナとしても願ったりかなったりであろう。トヨタが中国で2020年に発売を予定するEVの「C-HR」や「IZOA」にはパナソニックが中国で製造する電池が供給されるとみられている。

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