「テラハ」が教える新しい「一つ屋根の下」の関係 同居する異性と恋愛関係になるのは昔の話か
今、図面がわかっているフジテレビ放送時代の物件を具体的にみてみよう。初代と2代目とあるのだが、どちらも床面積300平米以上、オーシャンビューのテラス付きという、貧乏な若者たちのルームシェアとはレベルの違うしつらえになっている。まぁこれはテレビだから、当然と言えば当然。
しかし、それだけではない。そもそもルームシェアと聞いて普通想像するのは、それぞれが個室を持って、ダイニングとかキッチンとか、トイレとか風呂とかは共用にするっていうスタイルだろう。けれど、テラハでは男子部屋と女子部屋という3人ずつのリビング・寝室があり、それ以外は共用スペースとなっている。外観はオシャレなデザイン建築ながら、配室はまるで合宿所とか寄宿舎みたいなのだ。しかもベッドにカーテンすらない。
その上、2代目の家では、男子が風呂に入るのに女子部屋を通り抜けなければいけない構造になっていた。逆もしかりで、参加者の一人・住岡梨奈は「洗濯する時に地下の男子部屋付近を通る時は、いつもサーッって通り過ぎる。扉もあちこちだいたい開けっ放しだし(笑)」と証言している(『テラスハウス インサイド』扶桑社、2014年)。
テラハの家はプライバシー、とりわけ性についてのそれが極めて限られた空間になっており、いわば「無性」の空間になっているわけだ。
制限される性
ところが参加しているのは恋愛しようとする若い男女であり、こうしたルームシェアの空間が、ましてそこでの生活が全世界に放送されるという圧力が、恋愛と摩擦を生じるのはまったく当然というほかない。
その意味で、これまでカップルがわずかしか成立していないというのは別に驚くべきことじゃない。その成立カップルの1組である宮城大樹・今井華のカップルは、彼らのわずかだった交際期間を振り返って、こんな会話を交わしている。
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