JR中央線と京王線、着席通勤ならどちらを選ぶ? 新型車両投入しサービス向上に切磋琢磨

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一方、JR中央本線と競合関係にある京王線では、長らく着席保証列車がなかったが、東武東上本線「TJライナー」などと同様のクロスシートとロングシートに切り替え可能な電車(以下、L/Cカー)を導入し、「京王ライナー」の運行を実現させた。

京王ライナーに使われる5000系の車内(撮影:尾形文繁)

運用車両の5000系は「はちおうじ」のような豪華な設備(客室と客室ドアを仕切るデッキ、リクライニングシートなど)や洗面所・トイレを備えていないものの、電源コンセントやWi‐Fiは装備している。

料金400円は通勤車両を使用したライナーとしてはやや強気の価格設定と運行開始当初は受け止められたが、その後東急「Qシート」や、東武東上本線「TJライナー」など、「京王ライナー」を参考にしたと見られる料金設定や値上げが相次ぎ、400円が首都圏大手私鉄における着席保証料金の標準となりつつある。

「京王ライナー」の定員は438人、満席時の料金収入は約17万円である。17万円は「はちおうじ」乗車率34%とほぼ同程度の料金収入である。「はちおうじ」に比べ料金が安価なこと、そしてL/Cカーの弱点である少ない座席数が料金収入に差が生まれる大きな要因である。

「はちおうじ」と「京王ライナー」を比較すると、料金は「京王ライナー」のほうが安いが、「はちおうじ」は東京まで乗り入れるため、新幹線や丸の内のオフィス街へのアクセス面などで軍配が上がる。

地下鉄に乗り入れる?

しかし、「京王ライナー」の運用車両5000系電車は一般列車として都営新宿線への乗り入れ運用についており、京王電鉄のやる気と東京都交通局との合意が整えば、同線に直通する「京王ライナー」の運行が可能である。

京王電鉄広報部は「現時点で(都営新宿線へ直通するライナーの)計画はない」としつつ、「運行開始からまだ時間が経過していないこともあり利用状況をもう少し見る必要があるが、東京都交通局との協議の可能性も含め、検討できれば」と、将来的な直通運行実現へ含みを残す。

一方、「京王ライナー」の利便性向上は着実に進められている。2019年2月22日には、朝時間帯に京王八王子・橋本発新宿行きの運行を開始した。

筆者は4月のある平日に、京王八王子8時31分発「京王ライナー4号」新宿行きに乗車した。途中、北野、高幡不動、聖蹟桜ヶ丘、分倍河原と停車するごとに乗車率が上がり、府中出発時点でほぼ満席となった。

この列車は新宿到着が9時を過ぎる列車であるが、乗車率は高い。2017年度の京王線の最混雑区間は下高井戸→明大前(混雑率167%)、最混雑時間帯は平日午前7時40分~8時40分であるが、ピークを過ぎても根強い着席需要があることがうかがえる。

同電鉄広報部は「平日朝のライナー乗車率は9割を超える」と明かす。また夜に、新宿0時00分発「京王ライナー9号」京王八王子行きにも乗車したが、こちらは新宿出発時点で約65%の乗車率であった。ただし、20時00分発など早い時間帯のライナーは満席になることも多い。「平日夜のライナーでは平均80%超の乗車率を確保している」(同電鉄広報部)という。

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