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読売テレビの「性別質問炎上」に何を学ぶべきか 報道番組として少数当事者の声を忘れるな

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参考までに例を挙げると、筆者は大学で「多様性」が求められる「社会の実態」を学生たちに取材させて映像ドキュメンタリーを制作させる授業を行っている。その第一歩として、多様性のリアルを学んでもらおうと、大型連休中に東京・代々木公園で実施されているLGBTの祭典「東京レインボープライド」を学生たちと一緒に取材している。

そうしたプロセスを通じて、学生たちは一口にLGBTといっても、実はひとくくりにできるものでなく、ゲイもいればレズビアンもトランスジェンダーもいるなど、一人ひとりで違っていることを体験的に学んでいくことになる。そのうち、親しくなって関係を持った人たちを後日、自宅を訪問するなどしながら、ドキュメンタリー取材を深めていくのである。

読売テレビが今後考えていくべき「再発防止」の取り組みにはぜひ「当事者への取材」をプログラムに加えてほしいと思う。LGBTの当事者も一様ではなく、「性」についての扱われ方次第で自殺を考えるほどに悩む人がいることを理解する研修にしてほしい。

その一方で、今後はLGBTにかかわることに絶対に触れないようにするなど、過度に萎縮することはあってはならないし、声を上げた若一氏もそんなことを望んではいないと考える。

報道番組は多様性、共存を伝えよ

もともと社会に一定の割合で存在するはずのLGBTの人たちのことが当事者によるさまざまな努力で可視化されつつある。勇気を振り絞って「カミングアウト」する人も次第に出てきている一方、まだまだそれができない人も少なくないというのが現状だろう。

そういう人たちの実情をテレビの「報道番組」で伝えていくことは折に触れてやらなければならないし、多様性が求められる今日、さまざまな意味で社会のマイノリティーの問題をテレビで取り上げていくべきだと思う。

もちろん真面目なばかりのニュース的な、あるいはドキュメンタリー的なアプローチばかりでなく、時に笑いを織り交ぜながら、そうした人たちと共存している社会なのだということをもっと多様な形でテレビは伝えていってほしいと思う。

読売テレビには今回の出来事を教訓にして、そうした前向きな取り組みを一歩一歩、進めていってほしいと願っている。

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