田園都市線スーパーが客離れを起こした「真因」

“グルメな主婦"という乱雑な幻想

そこでこの大学は、オンライン通信課程を強化した。それまで問い合わせが来ても放置していたが、24時間以内に担当者が折り返し電話するように変えた。通信課程の学生ごとにアドバイザーを付け、社会人が学ぶ必要性を訴える広告も出した。

10年後の2016年、この大学の売り上げは5億4000万ドル(600億円)に成長。年平均売り上げ成長率は34%。「米国の中でもイノベーションに富んだ大学」と評されるまでになった。

顧客の「片づけたいジョブ」を見つけ、解決策を提供して「雇用」され成功したのだ。

「ジョブ」と「ニーズ」の違い

スティーブ・ジョブズやアマゾンのジェフ・ベゾスのような世界を変えたイノベーターは、人とは違う目でモノゴトを見て考え続けている。これを具体的な方法論にしたのが、ジョブ理論なのだ。

一方でこんな疑問もあるかもしれない。

「よく『ニーズを考えろ』ともいわれるよね。『ジョブ』と『ニーズ』はどう違うの?」

ニーズは「健康でありたい」とか「何か食べたい」というように漠然としたものだ。解決方法もいろいろある。しかしその解決方法で商品を買うかどうかは、必ずしも確実でない。

ジョブは顧客の具体的で切実な状況で生まれる。たとえばこんなものだ。

「草ボウボウの庭を、なんとかしたい」

「夕方の忙しい時間に、買い物を短時間で済ませたい」

「よりよい仕事に就くために、立派な学歴がほしい」

こうした切実な状況で生まれた顧客のジョブを解決すれば、顧客は買うのだ。

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ジョブ理論で考えると、ライバルは同じ市場にいるライバルだけではなくなる。映画やドラマをネット配信するネットフリックスのリード・ヘイスティングスCEOは、「ライバルはアマゾンか?」と問われて、こう答えている。

「リラックスするためにすることは、すべてライバルだ。ビデオゲームとも競うし、ワインとも競う。実に手ごわいライバルだね」

ヘイスティングスは「家でリラックスした時間を過ごしたい」という顧客のジョブについて考え抜き、ネットフリックスを成長させている。徹底的に顧客視点で考え抜くジョブ理論でビジネスを捉え直すと、まったく新しい視点が得られるはずだ。

ジョブ理論は、クリステンセンが著書『イノベーションの解』で紹介した「片づけなければならない用事」を、さらに深掘りしたものだ。クリステンセンはこのために会社を立ち上げ、ジョブ理論を多くの企業で10年以上実践・検証してきた。その成果をまとめたのが本書である。

「顧客はなぜ商品を買うのか?」という問いに、本書は多くのことを教えてくれる。今の顧客は実に多くの選択肢を持っているので、単にニーズに対応するだけでは買ってくれないのだ。「いい商品なのに売れない」と悩む人は、ぜひ一読をお勧めしたい。

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