自己肯定感「低い子供」が減らない日本の危うさ

「学力低下」や「薬物依存」に陥るリスクが高い

日本では、ほかの国と比較すると「自己肯定感」がとても低いという。とくに10歳頃から急激に低くなるようだが、その問題や原因とは?(写真:YsPhoto/PIXTA)  
「いい親」をやめるとラクになる』などを著書に持つ医学博士・古荘 純一氏によれば、日本では子どもが10歳頃から急激に「自己肯定感」が低下してしまう傾向があり、それは世界的にも珍しいことのようである。なぜ日本の子どもたちは自己肯定感を保てないのか? 自己肯定感の低下がもたらす諸問題と合わせて、同氏が解説する。

最近、「自己肯定感」という言葉をよく聞くようになりました。育児に困難を抱える親は、「自己肯定感」の低さが深く関わっているのではないかと私は考えています。つまり、自分に対して否定的な感情が強く、肯定的な感情が持てないということです。

しかし、その言葉の使い方も曖昧ですので、最初に、これから述べる「自己肯定感」という言葉の捉え方についてお話ししましょう。

「自己肯定感」と「自尊心」の違い

自分のことを自分で捉えるという概念には、心理学的には「セルフ・エスティーム」という言葉を当てるのが一般的です。その概念は「自己に対する肯定的、または否定的な態度」です。

すなわち、セルフ・エスティームという概念は、「自信を持ち、ゆったり構えること」や「自分に満足する」という、いわゆるポジティブな思考を指すだけでなく、ネガティブな側面も包括した概念に近いと思われます。セルフ・エスティームという単語は、プラスの価値とマイナスの価値を中立的かつ客観的に表す単語、ということもできます。

セルフ・エスティームは、日本語では「自尊心」「自負心」「自己評価」「自己尊重」「自己価値」「自己肯定感」など、さまざまな用語があります。日本語の「自尊」にも中立的な意味合いがあり、一般に使用するときは自尊感情より「自尊心」という言葉が多く用いられるようです。

一方、「自己肯定感」という表現は、自分自身を肯定するということに重点が置かれています。広義には自尊感情とはほぼ同義で、否定的な側面をそのまま肯定的に受け入れるという意味で用いられていることもあります。

本来、セルフ・エスティームは、高すぎても低すぎてもよくない、というイメージがあります。よい面、悪い面を表す言葉として捉えているからです。

次ページ「10歳から」急激に自尊感情が低下する
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 逆境からの人々
  • 西村直人の乗り物見聞録
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
トレンドライブラリーAD
人気の動画
スバリスト、トヨタ購入者とまったく異なる嗜好
スバリスト、トヨタ購入者とまったく異なる嗜好
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
AOKI、コロナ禍で売れた「パジャマスーツ」で描く復活戦略の要諦
AOKI、コロナ禍で売れた「パジャマスーツ」で描く復活戦略の要諦
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
持たざる国・日本に大激震<br>エネルギー危機が来る

脱炭素の移行期に化石燃料の争奪戦が勃発。天然ガスの価格は歴史的な急騰を記録しました。余波はサプライチェーンの混乱から世界経済の後退懸念、原発待望論まで広がります。資源小国の日本が生き残る道はあるのでしょうか。

東洋経済education×ICT