日本の車載電池メーカーは世界市場で勝てるか 韓国勢の投資額が突出、カギはコスト低減
中国市場では、中国メーカーEVの火災事故が多発している。他には2019年4月に、テスラが上海で停止中に爆発火災事故を起こしている。2013年から続いているテスラの火災事故であるが、結局、テスラのEV開発も、入念なLIB制御やEV制御ができていないことを証明している格好だ。しかし、これまでの火災事故の詳細な原因が明らかにされていないことは、製造物責任を果たしているとは言えない。
その点、日系のEVやハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、そしてトヨタとホンダが市販している燃料電池車(FCV)のいずれにおいても、公道での火災事故は1件も発生していない。それは、開発段階からLIBの信頼性を確立し、自動車の電動化における統合制御で確かな安全性制御技術の開発を最優先しているからにほかならない。
LIBの開発要件や基準も各社まちまちな中、中国のEVやEVバス、そしてテスラのEVに偏在する火災事故に対しては、安全性と信頼性を担保できる技術開発が早急に求められている。
中国は独自に安全性の規格を導入
2016年7月には、ドイツ発で車載用電池の安全性に関する国連規則、ECE R-100.02 Part2(電池パックに対して過充電、過放電、圧壊、外部短絡などの9項目にわたる安全性評価試験)が発効した。この認証を取得しないと電動車(xEV)の販売に制限がかかる内容である。
一方、中国はこのECE国連規則をベンチマークにして中国独自のGB規格(ECE国連規則の試験条件を中国流に改訂したもの。条件的には緩やかにしている)を導入しているが、国連規則とは異なり法的拘束力がないガイドラインである。
筆者は現在、各社が製造するLIBの安全性を検証する事業に関わっているが、自動車各社と電池各社の電池構造設計、および安全機構設計とその基準が個社単位で異なり、安全性試験評価結果にも差が生じていることに懸念を抱いている。それが引いては国際競争力に直結する問題だからだ。
世界の自動車各社から見れば、車載用LIBのサプライチェーンは極めて大きなカギを握る。その決め手となる要素は、従来からの性能、安全性は言うまでもない。さらには電池各社の生産能力向上のための投資力とコスト低減に注目が集まる。
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