日本の車載電池メーカーは世界市場で勝てるか

韓国勢の投資額が突出、カギはコスト低減

車載用電池はLIBに限らず長期使用が求められる。2010年12月に販売を開始した日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」は、販売累計台数でこれまで42万台を超え、世界トップを走っている。その「リーフ」でも発売当初は5年保証だったが、ようやく、8年、16万kmの保証を唱えるところまで進化を遂げてきた。

その寿命を延ばすための技術開発は、正極材料、負極材料、電解液、セパレーターのいわゆる「四大部材」の研究開発のみならず、正負極活物質の粒子をつなぎ合わせるバインダー、電解液の分解を制御する添加剤など、いくつものジャンルにまたがっており実用化までかなりの時間を要する。

前述した温度環境に対するタフさも同様に求められる。材料の耐久性開発のみならず、電池の冷却システムも必要となる。電池パックシステム開発に関わる自動車メーカーにとって、いかに効率の良いシステムを設計開発できるかが自動車メーカーの付加価値となる(大半の自動車メーカーは自社で冷却システムを開発している)。

アメリカ・テスラ社のEV「モデルS」や「モデルX」「モデル3」ではモバイル用LIBを搭載する設計開発となっている。ただし、この場合、耐久性は車載専用に開発されているLIBと比較すると寿命確保の点で劣っており、途中でのLIB交換も必要となるケースが生じてくる。

課題は電池の安全性確保

EVベンチャーは別にして、世界の大手ブランド自動車メーカーが、このような小型モバイル用途のLIBを搭載するビジネスモデルをとる気配はない。むしろ、専用開発で差別化、付加価値を追求する路線を拡大中だ。

また、安全性の確保も課題になっている。モバイル用LIB対して、20~30倍ほどの容量があるEV用LIB(50~100Ah)では、充放電時に伴う電池の膨張収縮(リチウムイオンが充電時には負極へ、放電時には正極に移動する。充電時に負極側で膨張することにより電池セルが膨張しやすくなる現象)も大きくなる。同時に、電池の発熱も大きくなることで、熱暴走を起こしやすくなる条件が増える。ましてや、充放電の制御機構が故障すれば危険性は一段と増す。

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