4月の米雇用統計26.3万人増、予想大幅に上回る 失業率3.6%に低下、労働参加率下落の影響か

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 5月3日、米労働省が発表した4月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が26万3000人増と大幅に伸びた。写真はユタ州の就職フェア会場で3月撮影(2019年 ロイター/George Frey)

[ワシントン 3日 ロイター] - 米労働省が3日発表した4月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が26万3000人増と大幅に伸びた。市場予想は18万5000人増だった。失業率は49年超ぶりの低水準である3.6%まで低下した。

2月と3月を合わせた雇用者数は従来から1万6000人分上乗せされた。

米連邦準備理事会(FRB)は1日に金利を据え置き、金融政策を直近で調整する意向がないことを示唆した。パウエルFRB議長は経済と雇用の伸びが「予想よりもやや力強い」とした一方で、物価は「弱い」とした。

雇用者数は労働年齢人口の伸びを維持するのに必要な約10万人を大幅に上回っている。

2月は雇用者数が5万6000人増にとどまったが、その後2カ月連続で雇用者数が力強く伸びたことは、2月の弱含みが例外的であったことを示すさらなる証拠だ。また、今回の統計を受けて景気後退への懸念は実質的になくなった。3月に米国債の長短金利が一時的に逆転したことで浮上した年内利下げの見方も後退した。

時間当たり賃金は前月比0.2%(6セント)増と、2カ月同じペースで伸びた。4月の前年同月比は3.2%増だった。

賃金の伸びは物価を押し上げる勢いはないが、昨年の1兆5000億ドル規模の減税政策の効果が薄れる中で、経済成長を下支えする材料ではあると見なされている。第1・四半期国内総生産(GDP)は、輸出や在庫の急増に伴い年率で3.2%増と、前期の2.2%増から加速した。

失業率は前月の3.8%から0.2%ポイント低下したものの、49万人が労働市場を離れたことが要因とみられる。FRBは失業率が年末までに3.7%まで低下するとの見通しを示していたが、4月はこれよりも低くなった。

労働力人口のうち就職している者もしくは求職中の者を表す割合である労働参加率は4月に62.8%と、前月の63.0%から低下した。1月は63.2%と、5年超ぶりの高水準を付けていた。低い労働参加率は、労働市場のスラック(需給の緩み)が残っていることを示唆する。

また、輸送業や製造業、建設業で労働力が不足しているとの声が上がる中でも雇用の伸びは力強さを保っており、これも労働市場のスラックを示す。

一部のエコノミストは、人材が減る中で雇用の伸びが鈍化し、結果として賃金が上がり、物価上昇率がFRBの目標である2%まで上がるとみている。FRBが物価の目安として注目する個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が3月に前年同月比1.6%上昇と、18年1月以来14カ月ぶりの弱い伸びとなった。

雇用統計の内訳は、建設業が3万3000人増。2カ月連続で伸びた。製造業は4000人増と、前月の横ばいから勢いが増した。自動車産業が、売り上げの落ち込みや在庫の積み上がりに対応する中で人員削減しており、製造業の重しとなっている。

政府は2万7000人増。20年の国勢調査に向けて早めに採用が進んでいることを反映したとみられる。

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