金持ちどんどん増えるサンフランシスコの実態

新興企業IPO続で、1晩で富豪が約1万人増える

「たとえ実際に行われるIPOが半分であっても、一夜にして1万人もの富豪が生まれることになる」と語るのはサザビーズの不動産エージェント、ハーマン・チャンだ。「みんな『売るのは来年までやめておこう。右も左もそこらじゅうに大富豪がいる時代が来るのだから』といった様子だ」

チャンの顧客の企業経営者リック・ライダー(61)も、何社かのIPOが行われるまでベイエリアの住宅を売りに出していることをあえて伏せておくことにした。「うちは家族向けの家ではない。いわば子どものいない共働き夫婦用の家だ」とライダーは言う。「だからIPOで潤う人たちの受けがいいかもしれない」。

住宅を買う人の約半数がソフトウェア技術者

IPOマネー争奪戦のカギを握るのは「職住接近」かもしれない。

「ミレニアル世代のIT労働者は利便性にこだわっている」というのは、クライム・リアル・エステートのクリスティーン・キム社長だ。「車に対する所有欲がないようだし、食べ物の配達がとても便利に使える時代だし、娯楽産業の近くが希望だから、サンフランシスコに残るはずだ」。

郊外にあるグーグルやフェイスブックが上場したときは、社員はベイエリアの各地に散らばっていたため、住宅市場への影響も分散された。だが、大手新興企業の多くは優遇税制のあるサンフランシスコに本社を置いている。社員たちも市内から出ないだろう、というのが不動産業者の見方だ。

2018年にサンフランシスコで販売された住居用物件は5644件で、そのうち家族向けの住居はたった2208件だった。そしてコンパスによれば、買い手の50%以上をソフトウェア技術者が占めていた。ある不動産会社の推計によれば、サンフランシスコの寝室が1つの賃貸マンションの平均賃料は1カ月3690ドルだという(別の会社は3551ドルだとしている)。

「こうした企業のIPOが一斉に行われるということは、金を手にした何千人何万人という若者が家を買おうとするということだ」と不動産業者のシェーン・レイは言う。「どうなることか」。

売り物件が減る中で急いで住宅を買い集め、大波が来るのを待とうという人々もいる。「一連のIPOの前に買わなければ、永遠に手が出なくなるのではないかという不安感があった」と言うのは新興企業オムニの創業者、トム・マクラウドだ。マクラウドは10年近く賃貸住宅に住んでいる。「結局、思い切って買うはめになった」。

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