金持ちどんどん増えるサンフランシスコの実態 新興企業IPO続で、1晩で富豪が約1万人増える
企業は従業員に対し、自社の株価は右肩上がりで高くなるというイメージを植え付けている。ウーバーやエアビーアンドビーといった新興企業は創業からの10年間、従業員に対してこのイメージを堅持するよう求めてきたわけだ。そして今になって、金融機関はこの「信仰」を揺さぶろうとしている。
シトリン・キャピタルの個人資産アドバイザー、ライアン・コールによれば、彼の元には富豪予備軍の新たなクライアントが殺到している。この世代の新興企業長者たちは、自社の成長にとくに強気で、コールも怖くなるほどだという。
船を買ったりするな、といさめている
「もう少し慎重になるよう仕向けようと努力している。あまりに浮き足立っているので」とコールは言う。「業績悪化など考えてもみないのだと思う」。
株価がどう動くかは誰にもわからないとコールは注意を呼びかけている。また彼は、ウーバーのような会社はいまだに驚くほど利益が上がっていないことをクライアントに思い出させようとしている。IPOが失敗に終わるケースは決して珍しくない。グルーポンの株価は、上場時は約26ドルだったのに今では3ドルだ。スナップの株価も同じく27ドルから9ドルに下落した。
「彼らの大半は若い。評価額が延々と上がり続けるところしか見ていないから、テクノロジー株の株価の変動が激しいことを本当のところはわかっていない」とコールは言う。「それに管理職も、彼らをせっせと働かせるために、会社の前途はバラ色であるかのように言っている」。
そこでコールは、クライアントにまだ金を浪費しすぎるなと戒めている。「船を買ったりすべきではない」と彼は言う。「そういうケースも少数ながらあるんだ」。
サンフランシスコやその周辺のオークランドやバークレーの町に暮らすミレニアル世代は、左派のアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(民主党、ニューヨーク州選出)のツイッターでの発言を追い、左派の政治団体の集会に参加したりしている。だが社会主義への関心があるわりに、この地域のIPOがらみのパーティー熱(パーティー業界の関係者によれば過去に例がないほど盛り上がっている)が下がることはないようだ。