子どもにクレジットカードを持たす親の言い分

高級レストランで食事をするティーンも

ロームさんは、子どもたちにクレジットカードは彼らのお金ではないと説明してきた。利子付きで返済しなければならないという理由で、彼女はクレジットカードを「悪いお金」と定義している。その代わり、彼女は子どもたちに自分のお金を使うように促し、もしお金がないなら、お金が手に入るまで待つように教えている。

「将来はキャッシュレスになると思う」とだというロームさんは、キャッシュレス社会において、お金の管理の仕方を子どもに教えることができるのはデビットカードだと断言する。アマゾンが展開するキャッシュレス店舗のように、将来的は人間が店舗に入ったとたん、購入した品物に対して自動的に請求されるようになるだろう。こうした未来に備えて、子どもたちにカードの責任ある利用を教えなければならない、とロームさんは言う。

クレジットかデビットか見分けるのは困難

彼女は実際、娘が10歳の時にはお店に1人で行き、あらかじめ教えてある暗証番号を入力してデビッドカードで支払いをすることを許していた。今では同じデビットカードを使って、9歳になる息子が1人で食料や雑貨をスキャンして支払いをすることを認めている。ロームさんとしては、これを通じて子どもたちにカードを使った取引に対して自主性と気楽さを感じられるように教えているという。

ステイシー・トルノーさんは多く子どもたちが、カードを使う現場に日常的に立ち会っている。冒頭で取り上げたベーカリーは彼女の店だからだ。トルノーさんによると、ほとんどのカードに両親や祖父母の名前が書かれているが、それがクレジットカードなのかデビットカードなのか見分けるのは難しいという。

カードを使って決済する子どものほとんどは、8歳から12歳くらいだという。それでも、冒頭の7歳の子どもが「母親の友人」のクレジットカードを持って訪れた時は、「本当にショックだった。どこであのクレジットカードを手にしたのか、理解できなかった」と振り返る。

トルノーさんは、7歳児の母親は友人とのおしゃべりに夢中で、お店に入ってきてクレジットカードでモノを買うのが面倒だったのだろう、と見る。ありがたいことに、こうしたことは、それほど頻繁には起こらない。しかし、11、12歳の子どもが自分名義のクレジットカードやデビットカードを持って店に来ることに驚かされたことが何度かあると言う。

「どうやったらクレジットカードをお金と同等と見なせるのか理解できない。このお金はどこからやってくると思っているのか」とトルノーさんは言う。彼女の哲学では、「お金を使う前にお金を稼ぐ方法を学び、使うときはまず重要なものに使うことを学ぶ」のが望ましい。

しかし、子どもにカードを与える親は、自らがクレジットカードで支払うときも「たいした額ではない」という態度をしがちなのではないか、というのがトルノーさんの見立てだ。だから、自分のカードを安心して子どもたちに手渡せるのではないか。

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