改めて問われる上場メリット--LEOCよ、お前もか。上場廃止が相次ぐ給食業界
昨年12月、事業所や医療施設向け給食受託の有力企業であるLEOCは、同社社長である小野寺裕司氏が100%出資する小野寺事務所によるMBO(経営陣による企業買収)方式の公開買い付けを実施した。同事務所が95・42%の株式を取得、この3月11日にも臨時株主総会を開き、その後にジャスダックでの上場廃止に向かう予定である。
同買収にはジル・マエ氏(フランスの大手給食事業者ソデクソ出身)を除く全取締役が賛同、第2位株主の三菱商事、3位の綜通も同意し、そのうえ買い付け価格は500円と、当時の株価200円前後の2・5倍という好条件を設定したため、スムーズに進んだ。
この公開買い付け、上場廃止に当たって同社では、「上場のメリットよりデメリットが大きい」(小野寺社長)点を強調している。
必要コストばかり増大 改革推進のむしろ足かせ
すなわち、エクイティファイナンスの活用、知名度向上、顧客や取引先への信用力向上といった上場メリットより、株式上場を維持するための必要コスト(株主総会運営、株主名簿管理人への事務委託費、有価証券報告書などの継続開示にかかる費用)の増大などデメリットが大きく、これがむしろ経営改革推進の足かせになる点を問題にしている。
同社はこの決断に踏み切る直前、もう一つの選択を行っている。
2006年に多角化の一環として買収した、首都圏で有料老人ホームなどを運営するライフコミューン株(50・1%出資)をキノシタ・マネージメントに昨年9月に売却したのだ。この買収の過程で短期借入資金が急増、前期末にキャッシュポジションの大幅なマイナスギャップが生じたため、継続企業の前提に重要な疑義が指摘された。
これを受けて、同買収会社株を売却して借入金を返済した結果、その問題は解消した。こうした上場に伴う問題点も、今回の決断の一因にあると見るのは自然であろう。
しかし、今回のLEOCの決断に当たって、より大きな影響を与えたのは、「給食業界における先例」(大内源太LEOC執行役員)である。その代表例がエームサービスだ。
同社は1976年、三井物産と米国大手給食会社、アラマーク社の合弁会社として設立。94年に店頭、96年に東証2部上場と順調に成長したが、03年に両親会社のTOBにより上場を廃止した。しかも、同じ上場給食会社のメフォスを買収し完全子会社化した後、これも上場廃止した。
この合弁事業の立ち上げ者でもある石田久人社長は、その上場廃止直前の03年に社長に就任したが、非上場のメリットをこう指摘する。