「きかんしゃトーマス」が国連SDGsと組んだ理由 ジェンダーバランス配慮で女の子ファン拡大

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今回のプロジェクトで「きかんしゃトーマス」を展開するマテル社との協力を主導したマーヘル・ナセル国連広報局アウトリーチ部長は、「SDGsを世界に広め、あらゆる年齢層でその認識を高めようとする取り組みの中で、『きかんしゃトーマス』は子どもたちだけでなく、その保護者も自然に楽しめる最適な選択肢でした」と語る。

うぬぼれ屋のレーシングカー・エースの世界を回る話に感動したトーマスは自らも旅に出る決意をする ©2019 Gullane(Thomas)Limited.

マテル社のリチャード・ディクソン社長も「トーマスと国連以上に適切なパートナーシップは想像できません。最も献身的で目的意識の強い人々、組織、そしてブランドは、よりよい世界をつくるための協力の価値を認識しており、決して独力で事を進めることがないからです。それこそが国連の存在理由であり、トーマスが70年以上かけて学んできたいちばん大事な教訓でもあります」と語るなど、それぞれに今回のコラボに手応えを感じているようだ。

トーマスが世界一周の旅に出る

SDGsを織り込むことで物語の幅も広がっているという。

「きかんしゃトーマス」シリーズといえば、これまではおなじみのソドー島を舞台に物語が展開されてきたが、今回の映画や新テレビシリーズ作品では、トーマスが、インド、中国、オーストラリアといった世界の国々へと飛び出すことになる。そしてさまざまな風景や文化のもと、地域色あふれる新たな機関車の仲間たちと出会っていく様子が描かれる。

トーマスがアフリカ、南米、北米、アジアなど世界を転々とする ©2019 Gullane(Thomas)Limited.

「きかんしゃトーマス」シリーズの日本の窓口となるソニー・クリエイティブプロダクツの西岡敦史プロデューサーは、「ソドー島という架空の島だけではなかなかできなかった、例えばトーマスがサバンナや万里の長城の中を走るといった描写ができるようになった。世界観も広がりますし、保護者にとっては子どもたちに知ってほしいことが描かれているので、知育的にも『トーマス』を観る理由が増えたと思う」と語る。

将来的にはトーマスが日本に来る可能性もあるという。「僕らとしてはぜひ、という気持ちですし、もし実現したら日本の子どもたちも喜んでくれると思う」(西岡プロデューサー)。くしくも静岡県を走る大井川鐵道では「きかんしゃトーマス」とコラボしたトーマス号、ジェームス号などが期間限定で運行しているということもあり、もしトーマスの“来日”が決まったら、大きな話題を集めそうだ。

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