ますます難しくなる安倍政権の財政運営 2014年度予算案 国債費の膨張に歯止めかからず
予算執行の遅れで成長率は下方修正
優先させるとした経済成長は、本当に思惑どおりに実現できるのか。
予算編成が大詰めに向かいつつあった2013年12月。先行きに不安を抱かせる統計データが公表されている。速報値で1.2%だった2012年度の実質GDPが、国民経済計算確報で0.7%へと0.5ポイントも下方修正されたのだ(景気実感に近いとされる名目では0.3%のプラス成長から0.2%のマイナス成長に転落)。
理由は公共事業が推計を大幅に下回ったこと。深刻な人手不足から入札が成立せず、予算執行が思うように進んでいないのである。もちろん安倍政権の10.2兆円の大型補正予算が成立したのは2013年2月下旬であり、この低成長に対する責任のほとんどは、その前の民主党政権に帰する。だが、安倍政権もまったく無関係とは言い切れない。
建設業界での人手不足というボトルネックはアベノミクスによって一段と深刻化しており、公共工事の入札不調は全国で続発している。予算の執行は滞りがち。2013~2014年度にかけても、政府の経済成長見通しが未達に終わるリスクは否定できないのではないか。
財政出動による景気浮揚が思いどおりにいかなくなれば、税収も見込み違いとなる。おまけにGDPの絶対額が下振れすることによって、対GDP比のPB赤字縮減は政府の見積もりを下回る可能性が強まってくる。
では、想定する成長率が実現できれば、政府が掲げるような財政再建との両立が出来るのか。実は単純に喜んでもいられない現実がある。
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