外国人が戦慄した一流料理店の「無知と勘違い」 ベジタリアンとヴィーガンは何が違う?

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日本の食は、とてもおいしい。だが、さまざまな事情により、味や手間や美しさが優先事項ではない場合もある。こうした人に対して、「こんなにおいしいのに、なぜ食べないんですか?」と、しつこくすすめる人もたまにいるだろうが、欧米ではこうしたことは不適切な行為にあたりかねない。

仕事柄、海外の人を伴って日本人と日本で食事をすることも多いが、会食の席で、日本人の反応に外国人が困った表情を浮かべるのを見ることがある。とくに出張で日本を訪れている人のこうした場面に遭遇することが少なくない。

「日本を訪れる人=日本が好きな人」ではない

彼らのほとんどは決して日本が嫌いな訳ではないだろうが、かといって日本やその文化に特別興味があるわけでもない。仕事だから来ているのである。ともすると、日本にいる外国人はすべて日本好きで、日本の文化に理解があると思えてしまうだろうが、そうではない場合もあるということだ。

ましてやオリンピックの場合、訪れる人の多くは、世界的なアスリートやスポーツ好きのファンや、各国の競技団体関係者がほとんどで、その人たちが日本を好きだとはかぎらない。彼らにとって重要なことは、必ずしも「日本を楽しむこと」ではないので、「面倒なことを言う人は、日本に来なければいいのだ」と言い切ってしまうような態度は避けたほうがいいだろう。

そんな、とくに日本好きではない外国人を伴って、実際に日本で起こったエピソードをひとつ紹介しよう。ビジネスディナーのコース料理の席に、日本の企業から招待されたときのことだ。ちなみに日本では、「まずはお食事をご一緒に」となりがちだが、海外での取引において、必ずしも接待は重要ではない。

そのときもアメリカから一緒に同行した客が、「夜は仕事から解放されて、ゆっくりしたい」と希望していたことや、数人いた中のひとりがペスカトリアンだったこともあり、日本側の接待はご遠慮したがっていた。しかし、大きなプロジェクトが無事に終了した祝席だったこともあり、日本側の企業は「日本流のおもてなしを是非楽しんでほしい」と望み、アメリカ側がそれを理解し、接待を受けることになったのだ。

招待された彼らはこぞって和食が苦手だったため、接待の場所は有名イタリア料理店に決まった。誰もが知っているような、雑誌などでも頻繁に紹介される店だ。

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