「大盛りいか焼そば」が撤退せざるをえない実状 売り上げは「U.F.O」の1割程度に過ぎなかった

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そこで、スーパーマーケットで販売された、月あたりの平均売価の推移を見てみると、今度は動きの激しさが逆になっている。「日清焼そばU.F.O. 128g」は安定した価格で販売できているとわかる。一方で、「スーパーカップ 大盛りいか焼そば 167g」については、90円台から130円台と、その変動が激しい。これは在庫がたまったときにセールで売る、というようなことがあるのかもしれない。

もともと、「スーパーカップ 大盛りいか焼そば 167g」は、カップ麺でお腹がいっぱいになりたい消費者に訴求するために、文字どおり「大盛り」をネーミングした。

しかし、メタボ回避、ダイエット、少子高齢化、炭水化物・糖質抜きブームなどが重なり、さほど大盛りがアピールできない時代になってきたように思う。もちろん、好きな人はいるだろうが、その比率が下がっているという意味だ。

売れ筋商品から外れると、棚を取れない?

POSデータに基づく商品管理が進み、スーパーやコンビニの店頭は売れ筋商品をを重視して並べる。一度、棚を外れてしまうとなかなか取り戻せず、売れ行きが下降する。そんな悪循環があった可能性もある。

なお、今回、調査した限りでは、カップ焼きそばの中で、買い物指数(100万人来店時の売上金額)が、なんと数百円にすぎない商品も数多かった。これでは、スーパーマーケットに並べるコストは徒労と化していく。きっと土地代を考えると陳列コストのほうが高いだろう。また、平均売価も数十円しか取れない商品も数多くある。

そんななかで、「スーパーカップ 大盛りいか焼そば 167g」は健闘を続けていた商品とはいえる。まさか平成の終わりを意識したわけではないだろうが、一つの区切りとして、私も愛好したカップ麺が寂しい結末を迎えることになった。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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