定年後「再就職」に大苦戦する50代に欠けた視点 できることなら40代から準備しておきたい

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ポイント3:厚生年金や退職金の額を調べておく

加えて支給額のことも確認しておきたい。厚生年金の支給額の平均は、民間企業の会社員などであった「第1号厚生年金被保険者」で月額約14万5000円。女性の平均額は約10万円である。また、60歳で定年を迎える場合には、年金がもらえるまで5年間ある。その間、年金繰上げ請求もできるが、そうすると65歳以降にもらう金額が減ってしまう。60歳で年金をもらわずに働かないでいると、貯金や退職金を切り崩して過ごすことになる。

定年を迎えて、退職金を切り崩しながら生活することはおすすめしない。退職金は何かあったときの蓄えとして残しておくほうがいい。

退職金の存在は、やはり大きい。厚生労働省が実施する「平成30年就労条件総合調査」によれば、定年退職者の退職金の平均は大学卒なら1983万円である。月収換算でおよそ40カ月分にもなる大金である。このお金があるとないとでは、安心感が大きく違う。

言うまでもないことだが、退職金は雇用期間が短ければ減る。1983万円という平均額は、同じ企業に20年以上勤務した場合だ。つまり、退職金に期待したければ、転職はできるだけしないほうがいい、ということになる。

貯蓄や退職金は「定年後の命綱」だ

理想を言えば、前半戦ではできるだけ転職をしない。同じ会社にできるだけ長く勤めて、勤続年数と技能を蓄積する。そして後半戦に入ったところで、定年後を見据えた新しいキャリアをスタートさせるのである。

貯蓄や退職金は、定年後の命綱となる。「貯金はいくらある」「年金と退職金はいくらもらえる」というように、きちんと細かく計画していないと、思わぬ苦労をすることになる。

年金も退職金も人によってもらえる金額は違う。50歳を過ぎて後半戦に入ったら、定年後に自分がいったいいくらもらえるのか、自分で計算しておくべきだろう。

ポイント4:「定年がない会社」で働く

転職先の1つとして考えたいのは、「定年の廃止・延長制度」がある会社だ。厚生労働省の平成30年「高年齢者の雇用状況集計結果」(従業員31人以上の企業15万6989社の状況をまとめたもの)では、定年制を廃止した企業は2.6%、65歳以上定年の企業は18.1%、合わせて20.7%であった。

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まだまだ多くはないが、そうした会社に移れば定年後も長く勤められる。今の職場環境が気に入っていたとしても、それは一時の満足だ。

先々の働き口のことを考えるなら、後半戦を迎えてすぐに転職するのも選択肢の1つである。私は、会社に定年という制度があるのはいいことだと思っている。そのもう1つの理由は、定年のことを考えるときが、その後の人生の計画を立てる絶好の機会になるからだ。

無理なく持続可能な定年後を実現するために、何が必要で、自分は何をすべきなのか。その答えをできるだけ早く見つけ出すことが、納得のいく後半戦にするためには、とても大切なのである。

郡山 史郎 CEAFOM代表

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こおりやま しろう / Shiro Koriyama

1935年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、伊藤忠商事を経て、1959年ソニー入社。1973年米国のシンガー社に転職後、1981年ソニーに再入社、1985年取締役、1990年常務取締役、1995年ソニーPCL社長、2000年同社会長、2002年ソニー顧問を歴任。2004年、プロ経営幹部の派遣・紹介をおこなう株式会社CEAFOMを設立し、代表取締役に就任。人材紹介のプロとして、これまでに3000人以上の転職・再就職をサポート。

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