鉄道デザインの「水戸岡・奥山」、今度はバス対決 驚きの内装とゆったり快適、どちらを選ぶか

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奥山清行氏がデザインした「クリスタルクルーザー菫」の外観(撮影:梅谷秀司)

奥山氏を起用した理由について、松田誠司社長は「四季島をデザインした人であるから」と説明する。また、松田社長はJR東日本新幹線E5系やE7系の最上級シート「グランクラス」を非常に評価しており、奥山氏がグランクラスを備えたE7系のデザイナーであることも決め手になった。

新幹線の「グランクラス」を意識したというシートが並ぶ「クリスタルクルーザー菫」の車内(撮影:梅谷秀司)

車内は横3席、縦6列の全18席で、全席座席シートにUSBポート、車内Wi-Fiを完備する。これはクラブツーリズムフアーストと同じだ。だが、特にこだわったのは1年かけて開発したというシートである。

「新幹線のグランクラスを意識した」(松田誠司社長)と言うとおり、色こそ違うが雰囲気はグランクラスのシートに確かに似ている。しかも、シート幅とシートピッチはクラブツーリズムフアーストを上回る。リクライニングは最大129度まで調節可能。「ベッドのようにとまでは言わないが、それに近いくらいリラックスできる」(堤真也・東日本営業本部副本部長)と言う。

バスの長所は「窓面積が大きい」

奥山氏は「船舶、航空機、鉄道、バス、それぞれに長所と欠点がある」と言い、バスの欠点は、水戸岡氏と同じく「鉄道の旅に比べると座りっぱなしで窮屈」と話す。だが、「バスには窓ガラスの面積が大きいという長所がある」。鉄道車両の窓は一見すると大きいように感じられるが、新幹線の窓ガラスも、高速化が進むにつれ、航空機のように小さくなってしまった。四季島をデザインする際にも柱が邪魔になり、いかに窓を大きくするかで相当苦労したという。

奥山氏が自信作という「クリスタルクルーザー菫」のトイレ(撮影:梅谷秀司)

今回のバスをデザインするにあたって奥山氏は、窓から見える景色を楽しんでもらうことを重視した。荷物棚を取り除いたのもそのためだ。さらに、「トイレを特に見てほしい」とも言う。色、照明、備品も含めて綿密にデザイン計画を立てた奥山氏の自信作だ。

確かに、クリスタルクルーザー菫のトイレは、クラブツーリズムフアーストよりも大きい。ただ、クラブツーリズムフアーストはトイレと洗面室を別々にしているので、両方を合わせた面積はそう変わらないはずだ。この辺は戦略の違いといえるかもしれない。

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