小田急複々線化1年、狙い通りの成果はあったか

顕著な乗客増が見られた区間はあるが…

複々線化の達成が利用動向にどのような影響をもたらしているか、小田急電鉄は、2018~2020年度中期経営計画の進捗状況の一資料として昨年11月に発表している。そこに示された2018年度第2四半期まで(4~9月)の利用人員の対前年比は通勤定期が+1.6%、定期外が+0.8%だったが、事前の計画値をそれぞれ+3.7%、+0.8%と示しているので、見込みに達していない。第3四半期まで経過した現在(4~12月の数値)は+1.9%と+1.8%となっているので、徐々に伸びてはいるが、まだまだ道半ばである。

こうした数値となった要因を明らかにするため、エリア別にどのような動きが生じたかも中期経営計画の状況報告に示されている。増減率で大きな効果が表れたのは江ノ島線。都心3駅(新宿・代々木上原・下北沢)への利用人員は通勤定期+7.4%、定期外+6.4%となった。これは朝の快速急行(江ノ島線内は急行)が5本増えて10分間隔になったこと、早朝5時台から新宿直通の便が確保されたこと、帰宅時にも新宿から直通の快速急行・急行が11本も増えたことなどが要因のようだ。ピーク時の所要時間は9~10分短縮された。

田園都市線の影響は?

田園都市線の終点中央林間駅は、小田急江ノ島線との接続駅である。ここから都心へ、東急田園都市線利用と比較すると、小田急で新宿までは47分、田園都市線渋谷までは長津田乗り継ぎで54分。小田急は乗り換えなしだが、まず座れない。それに対して田園都市線は長津田で始発準急を1本待てば座れる。これらの優劣が天秤にかけられる。実際に東急利用から小田急にシフトした人がどれだけいたかは調査されていないが、小田急中央林間駅の乗降人員は減少した。ということは、乗り換えずに通り過ぎる人が増えた証しとみられる。

新宿行き各停と快速急行が並走(狛江―和泉多摩川間、撮影:山下大祐)

次に多摩線から都心3駅へは、通勤定期+6.9%、定期外+0.7%の人員増。朝は通勤急行を10分間隔で設定、その約半数を多摩ニュータウン中心駅の小田急多摩センター始発とした。これは競合する京王相模原線から乗り換えた場合でも、ほぼ確実に座れるアドバンテージを意味する。

また、千代田線直通としていた多摩線の急行系列車を新宿発着に改めた。町田・本厚木方面の本線系統の利便を最優先しなければならないため、以前は多摩線列車を新宿に入れづらかった。それが複々線となって容量が増えたため新宿に入れることが可能になった。それにより多摩ニュータウンではメインの路線となっている京王電鉄に対しても差を縮めることができる、と踏んだのであろう。それが通勤定期+6.9%の数字となったと受け取れる。

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