だから鉄道「1円刻み」運賃の対応は分かれた ICカード普及率だけではない、鉄道各社の事情

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実際、同じ乗車距離にもかかわらず、ICカードと切符で運賃が異なる「二重運賃」となり、不公平や混乱が起きるとして、1円刻みに消極的な声も出ていた。ただ、国土交通省は10月末に「適正に消費税を転嫁できる」として1円刻み運賃を容認。導入にお墨付きを与える形となった。

値上げ方針が東西で異なる理由

なぜ、1円単位運賃について東西で対応が分かれたのか。その理由として、ICカードの普及率の差が指摘されている。関東では旅客収入全体のおよそ8~9割がICカード利用者となっているが、ほかのエリアはICカードの普及率が5割程度という鉄道会社が多い。

JR西日本の場合、全体で6割程度、定期のみだと8割まで浸透しているが、定期外では3~4割にとどまる。関西では割引切符などで乗る乗客が多く、チャージなど運賃を先払いすることに抵抗感を持つ人も少なくないという。そうした切符利用の根強さから、ICカードの1円単位運賃導入を見送ったとみられる。

だが、実はICカード普及が進む首都圏のPASMO加盟各社の中でも対応は分かれている。大手以外では10円単位の運賃のみで改定の申請をしている鉄道会社が多くあり、その理由もさまざま。増税分の転嫁への対応の違いは、単純にICカードの普及率だけが理由ではなさそうだ。

たとえば、東京メトロ南北線が乗り入れる埼玉高速鉄道は「運賃が2種類になると複雑になる。わかりやすくするために10円単位で統一した」。ICカードの利用率は全体で79%に上るが、沿線にはスポーツイベントなどが頻繁に開催される埼玉スタジアムがあり、定期外の利用も一定程度あることを考慮した。

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