スバル、最上級モデル「S209」日本投入はあるか 平川良夫STI社長への独占インタビュー・後編

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――Sシリーズを頂点としたSUBARUブランドの変革をSTIが担っていることが再認識できました。

皆さんはSUBARUのクルマについて、“安心と愉しさ”という言葉を聞くと思います。その定義は何だと思いますか? 

そこにあるのは、ワクワクとか、ゾクゾクといった単調な言葉では表現できない、自動車ブランドを超えた“血を共有する”ような、心の底から沸き立つ気持ちを共有することだと、われわれは考えます。Sシリーズをグローバルに展開することで、STIの次の成長につながると思います。

イマジネーションを持った業態

――では、最後にお聞きします。いまから30年後のSTIは、どのような姿になっていると思いますか。

そうですね……。(今回の)STI30周年の社内懇親会を東京ディズニーランドで行うのですが、いまから30年後の社内懇親会は、(アメリカ・フロリダ州オーランドのディズニーワールドの)エプコット・センターでやりたいですね。イマジネーションが人間にとって最も大事なこと。人間だから、イマジネーションできる。それが、エプコット・センターという施設のコンセプトだと、私自身は理解しています。

30年後のSTIは、いまよりも2倍、3倍、いや5倍以上の広がりがあるイマジネーションを持った業態になっていてほしい。そのためにいま、さまざまな意味でSTIの再構築を行っているのです。

******

私はこれまで、さまざまな立場でSUBARUやSTIと深く接してきた。2000年代初頭には、アメリカ西海岸でWRXを購入したこともある。今回、平川氏をはじめSUBARU/STI関係者の皆さんのお話を聞きながら、まさに走馬灯の如く、私自身のSUBARU/STI史を思い浮かべた。

今回試乗したWRX STI TYPE RA-R(筆者撮影)

富士スピードウェイからの帰路、関東南部は夜からかなり強い雨になったが、WRX STI TYPE RA-Rは実に走りやすかった。EJ20の最大出力は329馬力、S208と比較して約30kg軽く、0~100km/h加速は4.8秒。そうしたパワーが無駄に拡散することはない。かなり濡れた路面でもグリップ感が極めて高く、しかも乗り心地がしなやか。軽量化のためアイサイトは未装着だが、走行中の安心感がとにかく大きい。

約20年前、当時アメリカでは日系改造車ブームが到来しSTIも正規輸入され、さまざまなチューニングカーに試乗した。あの頃、これだけ上質な乗り心地とパワーの両立を想定した人は誰もいなかったはずだ。いまから30年後のSTIはどのような感動を世界の人々に与えてくれるだろうか。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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