いくつになっても夢をもつことは大事 『プレーンズ』プロデューサーに聞く

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各国でデザインが違うポスター

――それはDVDの特典か何かで見比べてみたいところですね。

それはおそらくDVDには入らないと思います。しかしインターネットで検索していただくと、各国のポスターの絵柄で違いがわかると思います。でも確かに「これはどこの国のロシェルでしょう?」みたいなゲームにするのはいいアイデアかもしれないですね。

――この映画はもともと世界市場では劇場公開作品ですが、米国市場ではDVD向け作品だったと聞いています。それが、劇場公開されてヒット。さらに続編の製作も決定しましたが、ディズニーの中では「DVD作品でもいい作品なら劇場にかけよう」といったような流動性は普通にあるのでしょうか? 

わたしたちにとっては、何といってもいいストーリーというのが基本です。そこをベースにしながら、いい作品を作るということしかないのです。その作品がDVDになるのか、それとも劇場公開作品になるのか、ということに関しては結果論でしかありません。もちろん劇場公開ができるに越したことはないですが、特にそういったことを念頭に置いているわけではありません。ただこの作品に関しては、ご指摘のとおり、もともと米国では劇場公開作でなかったものが、大きなスクリーンで味わってもらえることになったわけです。それはやはりとてもうれしいことではあります。

――たとえばバイオレンスな描写をしないとか、ディズニー作品における企画のポリシーのようなものはあるのでしょうか?

特に決められたルールのようなものはありません。それはそれぞれの作品を手掛ける作り手たちの判断に任せてあります。ただ、あくまでもディズニーのレーベルとしては、家族向けの誰もが楽しめる作品を心掛けているので、あまりにも過激なバイオレンス描写といったものは避けるということは、確かに判断基準のひとつになると思います。

――この映画には、主人公・ダスティのコーチを務める、ベテラン戦闘機のスキッパーが登場しますが、彼は暗い過去を抱えているといった描写があります。

確かに彼の回想シーンは、けっこうヘビーなものがあります。ただ、それもストーリーの中の必然性から生まれたもので、意図的にシリアスで暗いシーンにしたわけではないのです。海軍のエースだったスキッパーが、空を飛べなくなってしまうぐらいのトラウマを過去に体験しました。誰にでもそういった恐怖心があるのだということを描いているわけです。だからこそスキッパーに共感し、さらに絆を深めていくというポイントにもなるわけです。だからとても大事なシーンなのです。そういった意味では、やはりケースバイケースということですね。必然性から生まれるダークな部分というのはあるとは思いますが、全体のトーンとしてはやはり家族で楽しめるエンターテインメントということになります。

――では、今回の『プレーンズ』の見どころをどう考えていますか?

なんといっても、自分が飛んでいるかのようなすばらしい爽快感を味わってもらえるということじゃないでしょうか。それから誰もが共感できる物語ということもあると思います。大きな夢を抱えた主人公が自分の恐怖心に真っ向から立ち向かって、それを克服していくことで夢をかなえていく。それは誰もが共感できるすばらしいストーリーです。たとえどんな夢であっても、いくつになっても、夢を持つことは大事なんだよ、ということをメッセージとして伝えたいですね。

©2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

――「夢を持つことは大事」ということを踏まえて、若いビジネスマンに向けてアドバイスをぜひ。

キャリアの最初の一歩に立って、これから夢に向かって歩いていこうというような若い人たちに対して言いたいことは、どんなことがあっても、そのゴールを見失わないことです。日々の仕事では、めげてしまうこともたくさんあると思いますが、それでも努力をし続ければ一歩一歩そこに近づいていくと思います。自分を強く信じることが大事なのかなと思います。ほとんどの人にとっては、最初から夢の仕事を手に入れるなんてことはありえない。だいたいは目標に向かって、長い時間をかけてゆっくりと努力をしながら近づいていくものだと思います。だからそれでもやはり目標を見失わずに頑張り続けること、粘り続けることが大事だと思います。

――その活力を得るためにも、この映画はピッタリですね。

そう思ってもらえるとうれしいです(笑)。

(撮影:尾形 文繁)

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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