米朝交渉決裂で「笑う日中」と「大慌ての韓国」 日本にとって最悪の悪夢は回避された

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一方、韓国には暗い雰囲気が漂っている。今にも成立すると思われた合意の突然の消滅は、韓国にとっては明らかにショックなことだった。文在寅政権は熱心に、この調停に努めてきたからだ。

文大統領は3月1日、主要演説の中で新たな南北経済プロジェクトについて発表しようとしていた。このプロジェクトは、長いこと待ち望まれていた金委員長のソウル訪問による首脳会談の目玉となるものである。これらはすべて、寧辺核施設解体に向けた第一段階として、制裁措置の部分的解除がハノイで合意されるだろうという予想を前提としたものだ。

文大統領にとって後を引く問題に

「ベトナムにおけるトランプ大統領のとてつもない失敗は、文大統領にとって大変きまりの悪い結果であり、後を引く問題ともなる」と、元国務省高官で韓国通のデイヴィッド・ストラウブ氏は話す。

「文大統領は、北朝鮮との関係の進展に大統領としての立場を賭けてきた。その基本には、北朝鮮の指導者である金委員長は核兵器と引き換えにしても安全保障や経済発展を真剣に望んでいる、との考えがある。だからこそトランプに賭け、北朝鮮政府と交渉を行うよう促し、その機嫌をずっととってきたのだ」

だが、今回の結果は国内における文大統領の反対派を大胆にさせ、朴槿恵前大統領が弾劾され文在寅氏が大統領に選ばれて以来進歩派が享受してきた政治的優位性を脅かすことになる。文大統領の人気はすでに陰り始めている。公約に反して、低迷する自国経済の強化や低所得層の暮らし向きの改善が実行できていないからだ。

こうした中、韓国の保守派も活を入れ始めている。文大統領には、ナイーブな部分や、南北関係改善を過大評価する部分があると彼らはみており、そこに狙いを定めているのである。「北朝鮮問題にさらなる進展が見られなければ、文大統領が国内で直面する政治的課題は今後さらに増していくばかりだろう」とストラウブ氏は言う。

文大統領は今、大きな選択に迫られている。アメリカと北朝鮮の交渉が仮に行われたとしても、近いうちに合意が得られる可能性は低い。その間、北朝鮮政権は、韓国そして韓国政府から事実上の制裁緩和を直接得ようとするだろう。制裁緩和なしで金委員長が韓国を訪れることは考えられない。

文大統領はアメリカ政府の許可を得た上で経済交渉を進めることを望んでいた。許可なしで制裁緩和を行えばアメリカ政府との関係を傷つける危険性があるが、それに代わる選択肢を取るとすれば、今でも文政権の中心的存在となっている政策に終わりを告げなければいけないことになる。

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