なぜ人はいつまでも「成功体験」を引きずるのか 変化できる組織はどのように作ればいいか

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なぜ多くの人は今までのやり方や行動を変えることができないのでしょうか。それは、その方法で今までうまくいっていたからです。

しかし、市場は大きく変わっています。そしてこれからも、この流れは逆行することなく、おそらく広がり続けるはずです。また、AIの登場により急激に加速していくことも考えられます。

この「変化し続ける時代」に生き残る方法は、既存のシステムや価値観を変化させていくこと、つまり、自分や組織が「変化できる」ことが重要です。変化に対応できない人は、変化に対応できない「価値観」を持っていて、変化に対応できる人は、変化に対応できる「価値観」を持っているのです。

行動は価値観が決める

価値観は繰り返しの経験によって形成され、自分が所属するコミュニティーや組織の中で本人が置かれた環境に合わせて変化していきます。特に自分にいい変化や結果をもたらした行動原理は強固になり、それは価値観として行動の意思決定に大きく影響していくのです。

例えば、子どもの頃「運動は嫌いだが、友達と遊ぶのは楽しいから、鬼ごっこをしていた」とするならば、「友達と遊ぶのは楽しい」ということが価値観として重要なのであり、「鬼ごっこ」自体は価値観を満たすための行動でしかありません。そしてこの「楽しい」という気持ちを満たすために繰り返し「鬼ごっこ」をするわけです。

当然、歳を取るにつれて価値観は多様化、複雑化をしていき、変化をもたらすことは難しくなっていきます。その行動でうまくいっていればなおさらです。特に過去の価値観で成功体験があるとそれにとらわれてしまい、変化を受け入れることが難しくなってしまいます。

例えば、一度成功していることを繰り返し、行動の意味やその成果を考えることもせずただパターン化していては変化の機会を見落とします。ほかにも、現状に満足しているために変化を加えようとしても結局現状維持に帰結するなど、いくつもの例が考えられますが、人間の行動原理にある価値観を塗り替えることはそう簡単なことではありません。

では、過去の成功体験にとらわれず、「変化できる組織」にするためにはどうすべきなのでしょうか。それには他者の介入によって「行動誘導」を行い、新しい価値観にのっとった思考と行動を身に付けさせ、コントロールしていくことが重要なのです。

変化に強い部下に育てるにはどうしたらいいのでしょうか。

筆者は、多くの企業に「行動分析学」を基にした行動改革指導を実施しています。その指導は年間200日、1000時間を超え、指導対象ビジネスパーソンは年に3000人を超えます。その経験から導き出した「壁マネジメント」というものがあります。

部下を望ましい行動に誘導するために、部下の望ましくない行動には上司が介入して壁を作り、そちらへ行けないようにする。これが「壁マネジメント」の概念です。

もちろん、そのためには行動への介入だけではなく「環境設定」や「成功実感」を与える必要があり、それらを積み上げることで新しい価値観が生まれてくるのです。

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